法人版マイナンバー導入で何が変わるのか 企業にも番号が付与。そのメリットは?

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縦割り行政の弊害

そもそも、日本にはすでに企業コードはいくつも存在しており、上場企業なら証券コード、輸出入企業なら輸出入者コードが割り当てられている(表)。それぞれの業界の中で企業番号が割り振られているケースも少なくない。

業種を超えた取引をする場合などでは、受発注の伝票処理などが円滑に進みにくいという事態も起こっている。

その代表例がEDI(電子データ交換)だ。これは商取引に関する情報を標準的な書式に統一して企業間で電子的に交換する仕組みだ。発注や決済などの業務を効率化できるメリットはあるが、業種ごとに異なる規格があり、異業種の企業間でやり取りする場合は、余分なシステム開発をしたり、人の手による伝票の突き合わせや照会をしたり、といった作業を余儀なくされる。

さまざまな事業を展開し多くの子会社を持つ企業では、この問題が顕著に現れて、グループ全体の効率性の改善が図りにくい要因にもなっている。そこで、一部の企業ではグループ内で共通番号制を導入する動きが起こっている。

ある企業は「まず米国の企業グループでERP(企業グループ全体を経営資源の有効活用の観点から統合的に管理し、経営の効率化を図るためのIT手法)導入の際に共通番号を導入し、それをモデルとして国内にも採用した」と言う。

これまで企業コードを使った効率化が進まなかったのは、「各省庁で関連業種のコード体系を構築した結果、企業コードの共通化が実現できなかった」(官庁関係者)ことに一因がある。いわば、縦割り行政の弊害だ。とすれば、全国共通体系の番号導入は、弊害を除去して企業の効率化を促進することにもなる。

ちなみに、マイナンバー法では法人番号は原則公表され、官民で自由な利用が認められているのも、そこに狙いがあると見ていい。また法人番号に基づいて官庁や地方自治体など行政機関の間で情報連携ができるようになれば、企業の行政手続きの効率化にもつながる。

かつて、EDIが企業間取引で浸透していった1990年代の米国では、その効率性の高さから、こんな言葉が流行した。

「EDI or DIE(EDIをやるか、それとも効率性を改善できずにダメになるか)」

数年後、企業番号の共通化を通じて、わが国でも同様のことが叫ばれていておかしくない。

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