法人版マイナンバー導入で何が変わるのか 企業にも番号が付与。そのメリットは?

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世界でも共通化の動き

企業コードをめぐっては、マイナンバー法による法人番号とは別に、もう一つの番号共通化の動きが世界で起こっている。

震源は金融分野だ。08年9月に発生したリーマンショックの反省からG20サミット(先進20カ国・地域首脳会議)の場では金融危機の未然防止策が論議された。その中で具体化した項目の一つが店頭デリバティブ取引のリスク規模の把握であり、その方法が企業コード体系の国際的な統一だった。具体的には、店頭デリバティブを取引する企業には共通体系コードであるLEI(取引主体識別子)の取得を義務づけるという仕組みになっている。

国際的に統一された企業コードを付けて取引記録に記載すれば、デリバティブ商品が流通しても、その追跡(トレース)が可能となる。この企業コードは20ケタで構成され、その冒頭の4ケタは国コードということが決定している。米国などはその運営組織をすでに設置しており、日本も同様に運営組織を設置するのは時間の問題だ。監督官庁である金融庁も動向を注視している。

現在はデリバティブという金融商品が対象とはいえ、デリバティブを利用する企業は金融機関に限らない。金融分野から始まった国際企業コード体系をほかの分野にも転用するという議論が国際的に起きる可能性もあると見る関係者もいる。「米国は半導体などシステムに直結する輸入品の製造に関するトレーサビリティにも神経をとがらせている」(電子関連企業)という声もあり、企業コードの先行きがどのような着地を迎えるのか、関心を寄せる日本企業は少なくない。

共通化された企業コードを導入するメリットは大きいが、日本は世界的に出遅れている(表)。今後、普及を加速させるためには政府の環境整備が欠かせない。

週刊東洋経済2013年9月28日号)(撮影:尾形 文繁)

浪川 攻 金融ジャーナリスト

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なみかわ おさむ / Osamu Namikawa

1955年、東京都生まれ。上智大学卒業後、電機メーカー勤務を経て記者となる。金融専門誌、証券業界紙を経験し、1987年、株式会社きんざいに入社。『週刊金融財政事情』編集部でデスクを務める。1996年に退社後、金融分野を中心に取材・執筆。月刊誌『Voice』の編集・記者、1998年に東洋経済新報社と記者契約を結び、2016年にフリー。著書に『金融自壊――歴史は繰り返すのか』『前川春雄『奴雁』の哲学』(東洋経済新報社)、『銀行員は生き残れるのか』(悟空出版)などがある。

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