意外と知らない、トヨタの「カイゼン」の本質 コミュニケーションでも生産性は上げられる
3つ目のステップは、標準が常に進化していること。そのタイミングでの標準を達成したとしても、常により上の標準を設定してそれを目指すことで、現場は進化していきます。継続的な進化の際に有効なのが、他職場・他社での好事例の活用です。
トヨタでは、職場での好事例はさまざまな会議でスピーディに共有され、担当者は上司から「他部署の良い取り組みはその現場に行って、自分の目で見てくるように」と言われ、自職場への応用を促されます。このように、他職場や自社以外の業界全体の流れにもアンテナを広げることで、新しい目標設定がスムーズになります。
最初から最上位レベルに達することはできません。まずはご自身の職場はどのレベルにあたるのかを把握したうえで、目指すべきレベルを設定してください。
全体が一体となって成長する
②組織の縦・横のコミュニケ―ションが活発になる
次は、コミュニケーションです。トヨタの現場で必ず実行される5S(Seiri整理・Seiton整頓・Seisou清掃・Seiketsu清潔・Sitsuke躾の頭文字をとったもの)は、「キレイになってうれしい」という心理的効果以上に、仕事の生産性を上げることを目的にしています。トヨタのコミュニケーションも同様で、「職場の風通しがよくなる」こと自体よりも、仕事の生産性を上げることを目的としています。
まずは、縦のコミュニケーションから。トップが現場に対して行うコミュニケーションでは、組織として目指している方針・取り組み等がしっかり現場レベルでも理解され、従業員の頑張りが会社方針の達成に寄与するようにします。現場の意見を無視した上意下達となって現場で不満がくすぶることや、現場ではいろいろとやっているけれどその方向がバラバラということがなくなります。
逆に、現場が組織の上層部に対して働きかけるコミュニケーションの場合は、従業員のさまざまなアイデアを会社運営のプロセスに取り入れるようにします。特にオペレーション面では現場の従業員が最も熟知しているので、彼ら・彼女らに継続的に改善の提案・実施をしてもらうことで、現場は着実に進化していきます。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら