コピペされる著作物、意外と守られない実態 CMのメロディはいったい誰の知的財産なのか

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「自分が考えたアイデアなのに、それをパクられるのは著作権の侵害ではないか」と思われるかもしれませんが、実は著作権法はアイデアを保護する法律ではありません。アイデアを保護するのは特許法であり、著作権法は、あくまでそのアイデアを表現したその具体的手法を保護するものだからです。

著作権はなんら登録をせずに権利が発生しますが、特許は審査を受け、登録を受けて初めて権利が発生するという違いがあります。同じアイデアから出たものであっても、表現方法が違っていれば著作権の侵害とはいえません。もちろん模造やパクリなどといったデッドコピーは許されませんが、要所要所がほぼ同じといえないと、著作権侵害とは認めてもらえないということです。

一方で、かっぱえびせんのメロディができた頃には認められなかった表現が、最近知的財産として保護されるようになりました。商標法が改正され、2015年から、メロディなどを音商標として登録できるようになったのです。

音商標の実例を挙げてみましょう。

味の素 あ・じ・の・も・と
大幸薬品 正露丸のラッパのテーマ
伊藤園 おーいお茶
サンヨー食品 サッポロい・ち・ばん
花王 ビオレ
エプソン販売 カラリオ
三井不動産リアルティ みついのリハウス
救心製薬 きゅうしんきゅうしん
大正製薬 リポビタンD ファイトーイッパーツ
久光製薬 ヒ・サ・ミ・ツ

当時からこの制度があれば、かっぱえびせんのトラブルも起きなかったのかもしれません。

法律に触れなければいい、というものではない

当たり前のことですが、法律に触れなければどんなにまねをしてもいい、というわけではありません。本家に「まねをされた」と感じられただけで、相手の恨みを買い、無用なトラブルになりかねません。

消費者からも「この会社はあの会社のまねをした」と思われてしまっては、ファンを増やすことなどままなりません。アイデアや表現は考え抜いてオリジナルの形にし、しっかりと法律の保護を受けることが大切ということです。

三谷 淳 未来創造弁護士法人 代表弁護士

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みたに じゅん / Jun Mitani

慶應義塾大学法学部法律学科出身。2000年弁護士登録後は横浜の大手法律事務所に勤め、数多くの裁判を手がける。このころ旧日本軍の爆雷国家賠償訴訟に勝訴し、数々のマスコミに取り上げられる。しかし、2006年に独立し三谷総合法律事務所(現・未来創造弁護士法人)を設立すると、裁判はたとえ勝訴しても、時間がかかり、依頼者に強いストレスをかけ、結果的におカネも回収できないケースが多いことに気づき、徹底的に交渉術や紛争予防法を研究する。1日5件、週に20件、年間1000件の交渉を実践し、「日本一裁判しない弁護士」と呼ばれるようになる。紛争の早期円満解決や予防は、トラブルを抱えるクライアントだけでなく、企業経営者からも絶大な支持を受け、現在では「経営を伸ばす顧問弁護士」として地域、業種を超えて全国各地の上場企業から社員数名の企業まで100社近くの顧問弁護士を務める。

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