コピペされる著作物、意外と守られない実態 CMのメロディはいったい誰の知的財産なのか

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商標とは、自社の商品やサービスを他人のものと区別するためのマークやネーミングであり、「誰の商品か」や「どのサービスか」を認識できないキャッチフレーズ(標語)は保護の対象とはならないということです。

実際、現在カルビーは「やめられない、とまらない/かっぱえびせん」を商品名として、商標登録しています。

【2017年12月20日14時45分追記】記事初出時に「商標として保護されるためには『やめられない、とまらない!かっぱえびせん』を商品名にする必要がある」との誤った記述がありましたので、上記のように修正しました。

そこで、キャッチフレーズが知的財産として保護されるとすると、可能性が残るのは著作権だということになります。

著作権とは、自分で工夫して表現した言葉や音楽などをいいます。

ただし、小説のような長い文章に著作性が認められるのは当然として、キャッチコピーのような短い言葉に著作性が認められるかというとそう簡単ではありません。言葉が短ければ短いほど、ありふれた単語の組み合わせになるからです。

有名な判例として「ボク安心 ママの膝より チャイルドシート」という交通標語の著作性が争われたスローガン事件というのがあります。

裁判所は、標語を5・7・5で表した表現方法に著作性を認めましたが、「ママの胸より チャイルドシート」というスローガンは、共通の言葉を使っているものの異なる表現だとして、このスローガンを使った損害保険協会と広告代理店への損害賠償の請求を認めませんでした(2001年5月東京地裁で判決、同10月東京高裁が控訴棄却)。

ありふれたスローガンには著作性は認められにくいうえ、著作性が認められてもデッドコピーでないかぎり、権利の侵害は認められないということになります。

デジタル時代=簡単にコピーされる時代

デッドコピーといえば、インターネットが発達し、言葉や文章が簡単にコピーできる時代となりました。

弁護士である筆者の元には近年、「せっかく練り上げた文章をホームページに掲載したのに、ほとんど同じ構成でまねされてしまった」というご相談がたくさん寄せられます。

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