カフェで起業する人がだいたい失敗する理由 ロマンとソロバンを両立できないと勝てない
たとえばエスプレッソコーヒーの味を徹底追求しようと、「味の違いがわかる人だけを相手にした」店を開業したとする。 メニューもエスプレッソ中心にし、フードもスイーツも置かない店にした場合、“コーヒー通”は集まるかもしれないが、客層の幅は広がらない。売上高=「客単価×客数」なので、よほど希少価値のあるコーヒーを高く設定し、数をさばかないと売上高も上がらない。
では、特定のキャラクターが好きで「キャラクターの世界観を実現した店」にしたらどうだろう。やはり“キャラ好き”は集まるかもしれないが、こちらも客層の幅は広がらない。関連グッズ(雑貨)を販売して客単価を上げる方法もあるが、ライセンス料などを考えると(自社製作でない限り)高収益の商品にはなりにくい。
また、「私の得意な料理を幅広く提供したい」(ロマン)という店をめざしても、メニューの幅を広げすぎると、少人数で運営する店では、仕込みも調理も大変になる。取材では「週に1度の休日も、翌日以降の仕込みに追われて休めなかった」という話も聞いた。
また、カフェはレストランに比べて客単価が低い。そのため原価率の低い“ドル箱商品”を多く売る必要がある。普通は「コーヒー」だ。ある程度高い豆でも、原価は1杯50円未満となる(コーヒーオークションで落札したような高額豆は除く)。きちんと利益を取れる商品を、お客にとっての“納得価格”にして多く売れば、経営は安定する。
「コメダ」に見る“ソロバン勘定”
その見本例となるのが名古屋に本社を置く「コメダ珈琲店」(コメダ)と茨城を地盤とする「サザコーヒー」(サザ)だ。
コメダは約770店の国内店舗数のうち、98%がFC(フランチャイズチェーン)店だ。現在はFC開業資金も高騰して、個人オーナーが開業しにくい店になったが、非常によくできたビジネスモデルだ。ひとことで言って「FLRコストを抑えた店づくり」である。
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