宇都宮市は「新・路面電車」で何をしたいのか 来年3月着工だが、町の将来像はいまだ見えず
宇都宮市が「ライトレールを生かし、最終的にどんな街を作り上げていくか」という具体的なイメージとメリットが市民全体に伝わりにくいこともかなり心配な点だ。ライトレールに関わる広報を見ても、「一部地域にしかメリットがない」という印象がぬぐえない。元々路面電車がなかった宇都宮ではライトレールはイメージもしづらい。そのため、「ライトレールよりも市全体にメリットのあるバスの整備を」という反対派の声も大きい。
そもそも、ライトレールはあくまでもまちをつくる「手段」にすぎない。市では「ネットワーク型コンパクトシティ」を掲げており、ライトレール計画とセットで推し進めることで高齢化対策や基幹・支線となる交通機関の整備が進み、市民全体にメリットがあるとして、住民への説明を行っている。しかし、ネットワーク型コンパクトシティの説明資料を見ても、各地区にどんなメリットがあるかという具体性のある説明があまりみられない。
本当に大切なのはまちづくりによるメリットを市民全体に具体的に感じてもらうことなのだが、現状では「ネットワーク型コンパクトシティ」という言葉すらもライトレール建設だけを推し進め、正当化する言葉のような印象すら受けてしまう。今後はもっとまちづくり施策を前面に出し、各地区へのメリットは時に具体的な数字を用いて説明していく必要がある。
全体開業に向けた「本気のまちづくり」を
これまで、宇都宮には市内中心部を走るいわゆる「路面電車」はなかった。ゆえに完全新設の路面電車となる。さらに、今回は昔からまちがあった場所ではなく、1970年代以降にまちがつくられてきた地域につくられる。新しい「幹線」をつくり、定着させるには並大抵ではない困難がありそうだ。それゆえに期待も不安も大きい。
今回建設準備が進む区間はあくまでも「先行開業」する区間だ。全体では宇都宮駅から桜通り十文字までの約3kmも含まれる。こちらは宇都宮市の中心部で目抜き通りである「大通り」を走る。現在、1日約2000便ものバスが走るが、ライトレールに束ねることで西側も支線バスを充実できるとしている。宇都宮市のライトレール計画はこの区間まで成功させてようやく「完成」となる。 そのためには今回建設する宇都宮駅東口―本田技研北門間の成功は絶対条件だ。
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