出口治明氏「69歳で大学学長へ転身」の舞台裏 ライフネットと立命館APU、実は似ている

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学生に会うのが楽しみだという出口氏(編集部撮影)

魂を入れて実行していく

山田:広報活動以外の役割とは?

出口:この大学は非常にロングランでものごとを考えています。たとえばもうすでに2030年のビジョンを作っています。実はグローバルに考えたら2030年のプランを作るというのは、1つの常識です。国連のSDGs(Sustainable Development Goals)も2030年プランですよね。

すでに大学関係者の皆さんが、大きい方向性を作っていますので、具体的にどういうふうに手を打つか、マイルストーンを置いていくのが僕に課せられた責務だと思います。大きいビジョンを作った今の大学の先生方や、職員の皆さん、学生、地域の人、卒業生の思いを、もう一度僕自身がよく聞いて、自分で消化したうえでこのビジョンを実現できるようにしっかりとマイルストーンを置いていきます。

アジアと太平洋がこれからの世界の牽引車の1つになるという壮大な夢を20年前にAPUを設立した人々は考えたわけです。その夢に向かって魂を入れて実行していくのが僕の役割だと思います。

山田:現学長の是永(駿)さんは、出口さんを「歴史家、ヒストリアン」と評し、その「博学と洞察力を」生かしてほしいとコメントしています。そういった点では、たとえばアジアの人たちが共通の歴史観を持てるようなカリキュラムを置くような取り組みもよいように思いますが。

出口:そうした取り組みはすでに行われていて、ドイツとフランスは共通教科書を使って歴史の勉強をしています。たとえば勉誠出版では日本と中国でも双方の学者が集まって論文集を作っています。古代・中世は出版されましたが、近代のところは意見の隔たりが大きくて出版に至らなかったようですけれど・・・。APUとしてはどういう取り組みをするべきか、考えていきたいですね。

大学は教育と研究が両輪。大学の目的は何かと言えば、「いい教員とスタッフを集め、いい学生を世界中から集め、教育と研究のレベルを上げること」だと思います。そして、その結果としてランキングの順位が引き上がるわけです。そのことを目的化してはいけませんが、ランキングを引き上げていくことにもきちんと取り組みたいと思っています。

山田 俊浩 東洋経済 記者

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やまだ としひろ / Toshihiro Yamada

早稲田大学政治経済学部政治学科卒。東洋経済新報社に入り1995年から記者。竹中プログラムに揺れる金融業界を担当したこともあるが、ほとんどの期間を『週刊東洋経済』の編集者、IT・ネットまわりの現場記者として過ごしてきた。2013年10月からニュース編集長。2014年7月から2018年11月まで東洋経済オンライン編集長。2019年1月から2020年9月まで週刊東洋経済編集長。2020年10月から会社四季報センター長。2000年に唯一の著書『孫正義の将来』(東洋経済新報社)を書いたことがある。早く次の作品を書きたい、と構想を練るもののまだ書けないまま。趣味はオーボエ(都民交響楽団所属)。

 

 

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