アメリカで学んだ尊敬されるリーダーの本質 家族を大事に、中間管理職でも高い目線持つ

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ポイントはいくつかありますが、1部上場企業含め約2000社、1万人以上の役員・部課長と出会い、中でも特に優秀な約1000人の神リーダーと話した私から見たうちの1つが、日本とアメリカの違いにあります。

1991年、33歳でアメリカにエンジニアリング・マネジャーとして赴任して数カ月が経った頃、1歳下で、有能な現地アメリカ人の経理マネジャーBさんに、唐突に次のように言われました。

「ミキさんがアメリカに来て2カ月ほど経ちますが、今後、会社の経営をどのようにしていきたいと考えていますか?」

中間管理職であり、今まで会社の「経営」そのものについてあまり深く考えていなかった私にとって、目がさめるようなショッキングな質問で、明確に答えることができませんでした。

日本では、一般的に会社の経営について考えるのは社長になってから、早くても取締役になってからというのが常識だったこともあり、この質問はその後の私の人生を一変させるものでした。

今も日本の中間管理職、特に課長クラスでは、社長目線で考えることは少ないのではないでしょうか。日本の管理職は自分の目の前のことで手いっぱいになってしまう人が多いのですが、アメリカの優秀なリーダーはつねに会社全体のことを考えていました。

彼らは会社全体のことを考えながら仕事をしているので、優先順位のつけ方がうまく、何をするにも決断が速いのです。俯瞰力によりゴールまでの課題が見えるので早く結論を出すことができ、結果的にミーティングも早く終えることができていました。

家族を大事にする

もう1つは、家族ぐるみで会社全体のことを考えているということです。

アメリカでは家族と比べ仕事の優先順位は高くありませんが、これは決して仕事をおろそかにしているという意味ではありません。

特に、管理職クラスは、日本と同じかそれ以上に働きます。彼らが日本のビジネスマンと異なるのは、管理職クラスであっても家族を大事にするということなのです。なぜ家族を大事にするのか? それは、仕事でリーダーシップを発揮するために、家族が非常に重要な存在になってくれるからです。

よく考えてみると、家庭というのはチームそのもの。もともと生まれた環境も、育った環境も違う赤の他人と共同生活をすることは、チーム運営の基本です。つまり、家庭はリーダーの力を養うためのトレーニング場でもあるのです。家庭において、家族一人ひとりの長所を発揮できる役割分担ができていれば、自然と協力体制が出来上がります。

そして、仕事の話だけでなく、学校生活や恋愛、進路など何でも話せる雰囲気の家族であれば、会社と同じように、いざというときに一丸となって問題に対処することができます。そういう家庭を築いている人は、家族を路頭に迷わせないように導けていると感じました。

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