超マジメなのに報われない日本型エリート
城:もうひとつは、最初に入った大企業にずっといるけれど、ヒラ社員確定でくすぶっているというパターン。だから会っても面白くないから、もう会わない。
ムーギー:音信不通になる人が多いのは、たぶん構造的なものですよ。国内では管理職のポストがどんどんなくなっているのに、サプライだけは相変わらず一定程度あるから、ヒラ社員のままくすぶってしまう。これがグローバルマーケットなら、どこかのマーケットが成長していたりするから、探せばポストもある。
ところが国内でしか通用しないエリートになっちゃうと、結局、落ちぶれた姿をかつての同級生に見せたくない、という感じになってしまう。はっきり言って日本のエリートは、グローバルエリートよりもよっぽど努力してきた超マジメなタイプが多い。でも構造上、過当競争に陥っているから、報われないんですよ。
ローカルエリートのほうが向いている人もいるので、一概には言えないですが、グローバル市場を目指したほうが金融に関して言えば、キャリア展開の選択肢が増えるので、交渉力が高まります。逆にこの業界でのオプションを自発的に増やしていかないと、つねに会社側と強者と弱者の関係の弱者側に立たされ、マージンスクィーズを食らってその行く末は惨めなものです。
特にわれわれのような金融の仕事をしてきた人間は、たとえばレストランのウエーターをやれと言われても、本当に役立たずでしょ。すぐ「立ちっぱなしで足が痛いから座っていいですか」とか言うし、「もうちょっと空調の温度を下げてほしいんですけど」なんて文句ばっかり言うわりに働かない。私なんかきっと、“まかない”だけ食べて、1週間でお皿を”やっとこさ3枚くらい”拭いて、そのうち2枚は割ってしまって、首になると思います。
この手のキャリアを歩んできた人は、いざそこから外れちゃうと、世の中の誰より役に立たない人になってしまう可能性、つまり失業から抜け出せない可能性が高いですから。
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