春日部「駅高架化」で衰退を食い止められるか 最近は近隣の越谷・三郷・八潮に押されがち
春日部駅の西口にある券売機の上には、「鉄道高架で『つながる東西』活気あるまちの実現を!!」と、大きな文字が書かれた横断幕がある。先日行われた春日部市長選では両陣営ともに「春日部駅高架化の推進」をテーマに掲げ、大接戦となった。それだけ市民の関心は強い。
春日部駅周辺の連続立体交差化事業は東武スカイツリーライン1.4kmと東武アーバンパークライン1.5kmをそれぞれ高架化し、10カ所の踏切を除却するというものだ。完了すれば、開かずの踏切や「東西分断」ともいえる状況が解消する見込みだ。春日部市では1995年度から鉄道高架整備推進室を設置し、調査・研究を進めている。ようやく今年度に国との設計協議に入るため、まだまだ先は長い。
しかし、今年発表された東武鉄道の中期経営計画に「春日部駅のジャンクション機能強化」が盛り込まれた。また、昨年発表された輸送改善計画では、春日部駅のアーバンパークライン用ホームを増やし、2面4線化することが示されている。理由としては「東武アーバンパークライン・東武スカイツリーライン直通列車のスムーズな運行や増発への対応、そして、将来的に東武アーバンパークライン全線において、追い越しへの対応や乗換利便性の向上を図るため」(東武鉄道広報)だという。春日部駅周辺の連続立体交差化には「早期事業化に向けて、埼玉県、春日部市と連携を図り、都市計画決定手続きに積極的に協力していきたい」(同)と積極的だ。高架下の開発や都心アクセスの強化については「現在構想中」とのことで、具体的な内容は公表されていないものの、期待が持てる。
連続立体交差化はにぎわいを生み出せるか
そして注目すべきは高架化に伴う高架下開発や周辺再開発だ。春日部市が作ったプランでは周辺に商業施設やタワーマンションが建設される。
元春日部市民の男性は市のプランに対して、「これが春日部クラスの町における普通の駅の姿だと思う」とした上で、「春日部では買い物するところがなく、学生時代には新越谷の駅ビルを利用していた。春日部の駅の周辺に商業施設ができると、春日部市民だけでなく乗換客なども利用するのでは」と期待をのぞかせていた。
乗換客は春日部駅が1日2万8565人、新越谷(南越谷も含む)駅は同5万1759人と倍近い差がある。しかしそれを踏まえても、春日部駅の乗換人数に対して駅前の商業施設や若年層向けの飲食施設が少ない感は否めない。
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