プロバスケ「Bリーグ」2年目に直面する正念場 観客数300万人に向けた展望をトップが語る
しかし、今後の動員目標に対して、大きな障壁がある。アリーナのキャパシティの問題が度々ささやかれているためだ。
日本には「アリーナの聖地」と呼ばれる場所がなく、「体育館」と呼ばれているところで試合を行わざるをえないのが現状だ。
「たとえば野球を1つの例と考えると、半年間の間に140試合行われ、チームのホームスタジアムを使えるわけですが、バスケットにはそれがない。ここがいちばんの課題です。
1つの会場でバスケットやバレーボール、そしてバドミントンなどと一緒に使っていて、試合のときに仮設のスタンドを作っています。フロアの床に線を引き、全部マスキングで消して、2試合程度やったかと思えば次はそれを全部片付ける。そういった作業を毎回やるわけです。そのあたりにビジネスの限界があります」(大河)
アリーナビジネスの未来とは
その課題をどのように克服していくのか。日本のアリーナビジネスに対して、大河はドーム球場のように回転率を高めていくことを例に挙げる。
「たとえばサッカーは天然芝で、お客様のところには多少の屋根がありますが、ピッチ上は濡れるわけです。ピッチの上は毎日何かに使うわけにもいかない。要するに稼働率が悪く、収入を得る機会が少ないということです。ドーム球場などは、人工芝の上にいつでも使える建物が好立地の場所にある。こうすると回転率もよくなるし、コンサートや展示会など野球の試合以外でも使えます」
「アリーナも同じで、ドームほど大規模ではないですが、いろいろな用途で回転率を上げられる。この点でアリーナ単体でもビジネスの可能性を秘めていると思います」(大河)
B1リーグの「琉球ゴールデンキングス」が2020年完成を目標に1万人規模のアリーナ建設を公表し話題となった。今後のアリーナづくりにおいて参考になるのは海外の事例だ。
「たとえば米ニューヨークのマディソン・スクエア・ガーデンのように、アリーナを運営するコンテンツの1つとしてバスケットクラブを置いて施設の回転率を上げる。またボールパーク化した球場のように、場外のコンコースで飲食やグッズ販売スペースを設けることで収益率向上は図れます」(大河)
それだけでなく、アリーナの各スペースに対し、命名権を募って販売するなど、2次利用することでビジネスチャンスを広げることができる。とはいえ、日本にある「体育館」ではほとんどできていないのが現状だ。
さらに今後、Bリーグとしてはバスケットボールのためだけではなく、地域活性化や災害拠点にするなど街づくりの一環としてのアリーナづくりを目指していく考えだという。
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