駅弁「峠の釜めし」に紙の容器が登場したワケ

ファンに衝撃「陶器が消える?」は誤解

実際に荻野屋を取材したところ、益子焼容器を廃止するような計画はいっさいなく、あくまで紙製容器は補助的な存在であるとのことだ。ただ、益子焼の容器には、重いという欠点があるのは確か。そもそも紙製容器は、駅で買う客から「持ち運びが大変」という声があったことをきっかけとして開発されたものだ。これを改良して、2013年には環境に配慮した、サトウキビの搾りかすを原材料とした紙製容器を採用している。

従来から販売されている益子焼の容器に入った「峠の釜めし」(撮影:吉永陽一)

紙製容器は、時を同じくして空港で売られる「空弁」をプロデュース(監修)した際の容器としても用いられるようになった。いずれも食後の処理を考慮してのことで、あくまで顧客の要望に基づいて、陶器の不便な点を補うための容器としての使用に留まっている。益子焼容器を置き換え、使用を縮小させるためのものではない。

荻野屋によると、現在、紙製容器が占める割合は、全体の製造量の1割にも満たないという。なお、容器のいかんにかかわらず、弁当としての中身は同じだ。

「食べた後」は便利な紙製容器

今、紙製容器の「峠の釜めし」の取り扱いは、同社の直営店では東京の「GINZA SIX店」のみ。それ以外では、横川の本店をはじめ、すべて益子焼容器での販売となっている。

横川駅ホームの「おぎのや」売店(筆者撮影)

その他、各地の駅弁を集めて販売している、東京駅の駅弁屋「祭」、駅弁屋「踊」、新宿駅の駅弁屋「頂」。あるいはコンビニエンスストア「NewDaysミニ軽井沢」「NewDays KIOSK佐久平駅店」など、日本レストランエンタプライズ(NRE)やJR東日本リテールネットが経営する店舗の一部にて、紙製容器の「峠の釜めし」が販売されている。東京都内の目立つ店に並べられていることから、紙製容器の使用が拡大しているとの認識が広まったのかもしれない。

軽い、処理が簡単といった理由から、紙製容器を好む層がいるのも確かだ。私も今回、試しに東京駅にて紙製容器の「峠の釜めし」を購入し自宅で食べてみたが、容器は一般ゴミとして回収に出すことができて便利であった。陶器だと、私が住む川崎市では割れ物扱いで、一般ゴミとは分別して出さなければならない。私にとっては何度も食べている駅弁だけに、残る「釜」が増えても仕方がないところでもある。

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