「再生できる企業」とできない企業の大きな差 産業革新機構・社長の勝又幹英氏に聞いた

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――その成長支援の話は後半に伺うことにしまして、まずは企業再生について伺いたいと思います。1つ目のキーワードは「再生できる企業/できない企業、決め手は〇〇」。勝又社長から見た決め手、ズバリ何でしょうか。

ひと言で言うと、経営者、もしくは創業者が持つ自分の会社の製品サービスに対する「情熱」とか「熱い思い」とか「こだわり」…こういったものがとても大切になると思います。

――普段、勝又さんと話していると、とても理路整然とされていますので、その大事な決め手っていうのは、例えば市場の規模や、その商品の競争力とかそういうものがいろいろ出てくるのかなって思っていたのですが、「情熱」とか「思い」という言葉が出てきたので、具体的なケースをちょっとお伺いしたいなと。

牛が赤ちゃんを産むときに、分娩をするんですけど、「分娩事故を防止する装置」を作った創業者の社長さんがいました。この会社は一時、非常に苦労していたんですが、3年間かけて、非常に情熱を燃やして、「牛のためにこの製品を世の中に出したい」――この強い思いが、私、当時ベンチャーキャピタルもやっていたんですが、非常に心に響いて投資支援をさせていただいたケースがあります。

――出資を決めたきっかけというのは何だったんですか。

投資をする時に、数字の計算とかありますけど、その他に、実際にその製品を使っているお客さんのところに行って、お客さんの声を聞くというのは、とても大事なプロセスです。私も実際に聞いたところ、牛の赤ちゃんが生まれるときに、だいたい1割ぐらい死産してしまうんですが、この機械を使うことによって、牛の死産率が抑えられる。これを社長さんが一番大事に思って、今の会社を立ち上げたい――ここがこの事業、会社が成長していくために、一番大事なポイントなのかなと。そういうふうに、これはお客さんの声を聞いて、理解した次第です。

“安易な気持ち”では何年も続かない

――いろんな状況がそろっていても、やっぱりトップに立つ方の情熱というのは、大きなウエートを占めるものなのでしょうか。

そうですね。事業の再生とか立て直しは、ものすごい精神的なストレスであるとか、コミットメントが必要とされますから、ただもうかるんだろうとか、上手くいったらいいな、というぐらいの気持ちだと、なかなかその何年にもわたる過程を通過できない。そのためには、やっぱり思いとか情熱っていう心の部分が、とても大事になってくると思います。

――その心の部分が、後々、会社の軸になることになるかもしれませんね。

最終的にはそうなりますね。そういった社長さんを見て、従業員の方たちが「じゃあ、彼のためにがんばろう、ついていこう」っていう、そこももう一つ大きな力になっていきますので。

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