スーパースター・小泉進次郎氏の3つの死角 変人宰相だった父は「親子鷹」より「他山の石」

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ここにきて小泉氏は「東京オリンピック・パラリンピックの終わる2020年9月以降に日本は重大な岐路を迎える」と繰り返し、「その時こそが若い世代の出番だ」と付け加えることも忘れない。首相が来年、自民党総裁3選を果たせば、任期満了は五輪翌年の2021年9月で、小泉氏は「不惑の40歳」となる。ポスト安倍の有力候補とされる石破氏や岸田文雄政調会長はその時点で現在の首相より1つ年上の64歳だ。だからこそ、永田町では「ポスト安倍は小泉氏」との説が取りざたされるのだ。

権力に対する直言が目立つ小泉氏だが、政界有数の「爺殺し」でもある。「知らないことは辞を低くして先輩に直接教えを乞い、長幼の序もわきまえている」(自民幹部)からだ。まったく未経験の分野だった農協改革に党農林部会長として取り組んだ際も、真剣な勉強ぶりで党農林族長老の信頼を勝ち取り、改革案をまとめた。一匹狼の父親とは違い「協調性」も身に着けている。

死角は「嫉妬」「資金力」「独身」

その一方で「空気を読み、周囲に目配りする優等生」(自民幹部)との評も多い。「派閥の闘将」でもあった父親と違い、初当選以来、無派閥を貫いていることで派閥の権力闘争とも距離を置く。それが「党内に敵がいない」(同)理由でもある。ただ、ポスト安倍の総裁選出馬を目指すには党内の支持固めや資金が必要だ。石破氏のように無派閥の仲間を集めての「小泉派」の旗揚げも視野に入ってくるし、そうなれば「子分」を養う資金力も必要となる。政権への王道を歩むなら「徒党を組まず、金も使わない」ことに徹して総理総裁に上り詰めた父親は「手本にはならない」(首相経験者)ことは自明の理だ。

さらに、リーダーを目指す上で必要とされるのが「良き伴侶」だ。政界入りして8年以上を経過した今も、独身を謳歌している小泉氏だが、周囲は「早く身を固めないと、トップリーダーの資格を得られない」と気をもむ。もちろん、父親は離婚したため妻不在で首相を務めたが、小泉氏は「正真正銘の独身」(友人)だ。父親のように「ファーストレディ」役を務める姉(小泉氏の叔母)も見当たらない。もちろん、独身なら政界に蔓延する「不倫疑惑」にも巻き込まれにくいが、政治家として子育てを重視し、「こども保険」を提唱する小泉氏が独身のままでは「説得力に欠ける」ことにもなりかねない。

いまや押しも押されもしない「自民党の希望の星」となった小泉氏だが、現時点での死角は「党内の嫉妬と資金力と独身」ということになりそうだ。

泉 宏 政治ジャーナリスト

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いずみ ひろし / Hiroshi Izumi

1947年生まれ。時事通信社政治部記者として田中角栄首相の総理番で取材活動を始めて以来40年以上、永田町・霞が関で政治を見続けている。時事通信社政治部長、同社取締役編集担当を経て2009年から現職。幼少時から都心部に住み、半世紀以上も国会周辺を徘徊してきた。「生涯一記者」がモットー。

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