アバの「ショービジネス」の集客が凄いワケ 日本にないエンターテインメントがあった!

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普通ならこの時点で照明が明るくなり終了、全員退出となるのだが、このショーはまだ終わらない。ウエイターが素早くテーブルを傍らに寄せると、今度はテーブルがお立ち台に早変わり、センターのミラーボールが回り始め、そこから一気にディスコ大会へと突入していった。

曲はアバのメドレー・メガミックス。夫婦で手を取って踊り始めたり、青春時代を思い出したのか、ほろ酔い気分で1人お立ち台に立つ貴婦人も見える。参加者は皆、顔を紅潮させて踊っていた。

「マンマ・ミーア!ザ・パーティ」は「これでもか!」と言わんばかりの徹底したエンターテインメント・ショーだった。音楽、演劇、サーカスが一体になったショーを見て、フルコースディナーを食べた後、ディスコへ行ったと考えたら、値段も手頃なのかもしれない。

チケットは日本から予約することも可能だが、インターネットのみ。夜の部はソールドアウトが相次ぎ、もはやプラチナチケット化している。

今後のビジネスのヒント

この「徹底したエンターテインメント・ショー」にこそ、今後のビジネスのヒントがあるのではないだろうか。

食事をしながらライブを見るというスタイルは、ジャズで有名な「ブルーノート」系列のレストランや「ビルボードライブ」などがある。これらのライブはあくまでも演奏者側が主役である。しかし、1つの会場で「ライブ、演劇、ダンス、食事」を楽しむことができる、お客さん参加型の複合エンターテインメント・プログラムがあれば、まだまだ新しい顧客を開拓することが可能ではないだろうか。

今の70代はビートルズをリアルタイムで聴いていた世代で、その世代はまだ十分にターゲット層だ。おカネに余裕があっても、よほどの刺激や楽しさがないと、エンターテインメントにおカネは払わないだろう。

退出する途中、2階席で見ていた「アバ・ザ・ミュージアム」の館長であるイングマリー・ホーリングさんと目が合ったので、親指を思い切り上にあげてあいさつをした。彼女は手を振り、満面の笑みを返してくれた。

ポップミュージックの産業化において、世界の一歩先を走るスウェーデンの底力。日本の今後の音楽ビジネスの参考にもきっとなるはずだ。

草薙 厚子 ジャーナリスト・ノンフィクション作家

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くさなぎ あつこ / Atsuko Kusanagi

元法務省東京少年鑑別所法務教官。日本発達障害支援システム学会員。地方局アナウンサーを経て、通信社ブルームバーグL.P.に入社。テレビ部門でアンカー、ファイナンシャル・ニュース・デスクを務める。その後、フリーランスとして独立。現在は、社会問題、事件、ライフスタイル、介護問題、医療等の幅広いジャンルの記事を執筆。そのほか、講演活動やテレビ番組のコメンテーターとしても幅広く活躍中。著書に『少年A 矯正2500日全記録』『子どもが壊れる家』(ともに文藝春秋)、『本当は怖い不妊治療』(SB新書)などがある。

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