経済物理学で日経平均株価の暴落時期を探る 日本株はバブルなのかまだ上がるのか

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他方、2018年3月以降のバブル崩壊の可能性を考えるため、さらにバブル崩壊のタイミングを変化させてモデルを推計したところ、2018年3月以降はモデルの「均衡」が変わり、決定係数が大幅に上昇した。2018年3月末に崩壊すると仮定したモデル推計の結果、2017年末に株価が一度「調整」され、その後再び臨界点に向かっていくパターン(均衡状態)が示された。

「2018年2月末までに調整がある」との結果に

つまり、推計結果は短期的なバブル形成・崩壊をとらえるのではなく、長期間のバブル形成・崩壊を予測した(決定係数は0.76程度と、明日にでもバブルが崩壊する場合と同水準であることも興味深い)。もっとも、2018年3月以降にバブル崩壊が予想される新しい均衡のモデルにおいても、足元の株価水準からは短期的な調整が予測されている。短期的な調整(モデルによると2万1000円程度まで下落)を経て、バブルが再形成されていく均衡となっている。

これらを勘案すれば、足元から2018年2月末までに日経平均株価は大幅または小幅な調整のある可能性が高い。ただし、調整が小幅になった場合は、2018年にかけて再びバブルを形成する場合もありそうだ。

末廣 徹 大和証券 チーフエコノミスト

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すえひろ とおる / Toru Suehiro

2009年にみずほ証券に入社し、債券ストラテジストや債券ディーラー、エコノミスト業務に従事。2020年12月に大和証券に移籍、エクイティ調査部所属。マクロ経済指標の計量分析や市場分析、将来予測に関する定量分析に強み。債券と株式の両方で分析経験。民間エコノミスト約40名が参画する経済予測「ESPフォーキャスト調査」で2019年度、2021年度の優秀フォーキャスターに選出。

2007年立教大学理学部卒業。2009年東京大学大学院理学系研究科物理学専攻修了(理学修士)。2014年一橋大学大学院国際企業戦略研究科金融戦略・経営財務コース修了(MBA)。2023年法政大学大学院経済学研究科経済学専攻博士後期課程修了(経済学博士)。

 

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