決戦直前!ドイツの議会選挙の結果を占う 景気・経済観測(欧州)

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過去に大連立となったのは、戦後初の不況に対処するために両党が手を組んだ1966年と、FDPとの連立では過半数が確保できなかった第1期メルケル政権の2回のみだが、CDU中心の政権同様に株価が上昇した。

こうした株価の動向は政策面からも裏付けられる。SPD主導の政権となった場合、金融取引税(FTT)や富裕層増税での積極姿勢が高まることが予想され、金融市場にとってネガティブな要因となる。大連立の場合、CDU主導の政権となることが予想されるうえ、CDUの選挙公約(マニフェスト)にも左派寄りの政策が盛り込まれており、政策がさらに大きく左傾化することはないだろう。

ユーロ危機対応での主要政党の立場はいくつかの面で異なっている。SPDと緑の党が将来の財政統合により前向きで、必要に応じて、部分的な債務共有化(共同債の発行)も認める方針であるのに対し、CDU/CSUとFDPはいかなる債務共有化も認めない立場を貫いている。また、SPDと左翼党はマーシャル・プラン(第2次世界大戦後の欧州復興のために米国が提唱・推進した復興支援計画)が必要であると主張し、現政権よりも、構造改革や失業対策を補完する形での財政支援に前向きだ。

選挙後はユーロ危機対応で対立が表面化しやすい

ただ、ドイツ国民の多くは、危機国が財政再建や構造調整などの体質強化に取り組むことが先決とし、共同債発行や銀行同盟などでの拙速な統合強化、安易な追加支援を望んでいない。「どの政党が最も強く欧州危機に対応しているか」とのアンケート調査の回答では、CDU/CSUが47%と、SPDの12%、緑の党の5%を大きく上回っている。別の調査では、「メルケル首相がユーロ防衛で手腕を発揮しているか」との質問に対し、70%が「そう思う」と答えている。しかも、その割合はCDU/CSUの支持者ばかりでなく、SPDや緑の党の支持者の7割程度がメルケル首相の手腕を評価している。

SPDと緑の党はこれまで政府の危機対応を基本的に支持し、関連法案の採決で賛成票を投じてきたが、行き過ぎた緊縮要求が危機の深刻化を招いたとして、現政権の危機対応を批判している。ただ、現政権もすでに過度な緊縮が危機国にもたらす弊害に配慮し、柔軟な政策運営に舵を切っている。実際のところ、野党勢と現政権との立場に大きな隔たりはない。

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