決戦直前!ドイツの議会選挙の結果を占う 景気・経済観測(欧州)
協議の結果、大連立が実現した場合、2大政党は議会の安定過半数を確保し、連邦参議院との支配政党が異なる“ねじれ”も解消する。中期的にみれば、これが最も好ましい政権の組み合わせだろう。CDU/CSUとSPDの獲得議席が拮抗していた第1期メルケル政権(4議席差)と異なり、今回は議席の上ではCDU/CSUが大きく上回ることが予想される。そのため、現政権にかなり近い政策スタンスが続くことになりそうだ。
他方、大連立が物別れに終わり、野党勢の総結集による政権交代が実現した場合、新首相のリーダーシップ、政策面での立場の違い、左翼党の政権遂行能力が疑われ、金融市場の動揺を誘うおそれがある。
つまり、政権の安定度という尺度で、各シナリオにおける金融市場の反応を整理してみると、開票直後に最も好感されるのはシナリオ2の大連立だが、連立協議の難航で短期的(数カ月単位)に悲観ムードが広がり、その後、中長期的(数年単位)には安定政権の樹立で好感される展開が予想される。
CDU主導の政権成立で株価は上昇する可能性が高い
シナリオ1の場合、投開票直後の市場の反応は中立、早期の政権発足で短期的には好感、中長期的には中立となるだろう。シナリオ3の場合、投開票直後はシナリオ2が実現すると受け止められて好感、短期的には連立協議の難航で悲観、政権発足後は政権運営が不安視されて悲観、その後は政権の舵取り次第と言ったところだろうか。
過去の経験則に基づいて、各連立の組み合わせによる株式市場(DAX指数)の反応を整理すると、中道右派のCDUが中心の政権が発足した局面と、中道左派のSPDが中心の政権が発足した局面では、株価のパフォーマンスは大きく異なる。前者の場合、その後の株価が上昇することが多いのに対して、後者の場合、その後の株価が下落することが多い(右図)。
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