続々登場「乗り物運賃無料」企画は成功するか 10月の池上線に次ぎ11月は2カ所で開催

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話題を呼んだ池上線のフリー乗車デーだが、電車の運賃を終日無料とするイベントには先例がある。2010年公開の映画『RAILWAYS』で有名になった、島根県の一畑電車だ。松江市内と出雲大社などを結ぶ路線を運行する同社は、2012年4月に創立100周年記念、2016年11月には86年ぶりの新造車両導入記念と、過去に2回の運賃無料イベントを行っており、今年も「一畑電車感謝祭」として11月19日を無料の日にする。

同社は運営にあたって県や沿線自治体などでつくる協議会の支援を受けており、これまでに行った運賃無料イベントは創立100周年や新車導入を記念した企画であると同時に「そういった意味でも地元への感謝を込めて」(一畑電車運輸部営業課)との意味合いがあるという。だが、補助は基本的に車両や施設といったインフラ面が対象で、営業面については一畑電車の自主努力。イベントについても金銭的な補助は受けていない。

無料で「乗るきっかけ」づくり

そんな中で、丸一日無料という思い切ったイベントを行うのは、沿線への感謝とともに、日頃は電車を利用しない沿線住民に対して「乗るきっかけ」を提供することで、通勤・通学などに利用してもらいたいという狙いがある。

島根県・松江市・出雲市が策定した「一畑電車沿線地域公共交通網形成計画」の資料に掲載された住民アンケート結果によると、過去1年間に一畑電車を利用したことがない人の割合は53.6%に上る。半数以上の人が年に一度も電車に乗っていないという環境では、まず乗ってもらうことが重要だ。

インパクトのある「運賃無料」の誘客効果は大きく、同社によると2016年11月の新車導入記念の際は、乗客数が通常の日曜日の3~4倍に増加。協賛施設などで特典を受けるのに必要な「乗車証明」は約6400人分配布したといい、車両の増結は行わなかったものの、通常はワンマン運転の電車内に係員を増員して対応した。無料で電車に乗ったことをSNSなどで発信する人も多く、その点でもPR効果はあったという。

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