続々登場「乗り物運賃無料」企画は成功するか 10月の池上線に次ぎ11月は2カ所で開催
東急電鉄が10月9日に行った「池上線フリー乗車デー」。五反田と蒲田を結ぶ池上線の開業90周年を記念し、1日中全線無料で乗り放題という「首都圏の鉄道では初」(東急)のイベントは注目を集め、電車や沿線は多くの人でにぎわった。
異例ともいえる「太っ腹」な運賃無料イベント。だが、実は東急に限った動きではない。11月19日には、一畑電車(島根県)が「感謝祭」として2012年以来3回目となる運賃無料イベントを実施するほか、同じ日には川崎鶴見臨港バス(神奈川県)も創業80周年を記念し、大半の路線で運賃を1日無料にする。
「運賃無料」はイベントに限らない。東京都心部などでは、街中を循環する無料のバスが以前から運行されており、買い物客などの周遊の足として定着している。
利用者からの運賃収入で成り立つのが基本の民営公共交通。商業施設の送迎バスなどを除けば、民間が運営する乗り物の無料サービスは珍しい取り組みといえる。あえて「無料」にする狙い、そして効果はどこにあるのだろうか。
「無料」で利用者数3.7倍
秋晴れに恵まれた「池上線フリー乗車デー」の当日。休日の昼間といえば普段はのんびりしたムードの漂う同線は、まるで朝の通勤時間帯かそれ以上の混雑ぶりとなり、「無料で電車に乗れる」というイベントの話題性の高さを見せつけた。東急によると、同日に配布した無料の「1日フリー乗車券」は約19万枚。改札を通過した延べ利用者数は56万9000人といい、過去3年の同日平均である15万3000人の約3.7倍に達した。
フリー乗車デーは池上線の開業90周年を記念したイベントであるとともに、東横線や田園都市線に比べて低いという同線の認知度向上が大きな狙い。東急の広報担当者は「列車の混雑や遅れなどではご迷惑をおかけしたが、多くの方に池上線と沿線の魅力に触れていただくことができたと思っている」と話す。
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