東急池上線無料デーで露呈した「沿線内格差」 大盛況「戸越銀座」と対照的に閑古鳥の駅も

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戸越銀座商店街は夜まで多くの人でにぎわった(筆者撮影)

10月9日。3連休の最終日。東急池上線はどの駅でも、ホームにやってくる電車はほぼすべて乗客がすし詰め状態で乗っていた。

この日、池上線開業90周年記念行事として「池上線フリー乗車デー」が開催され、池上線は終日無料で乗車することができたのだ。そのため、多くの人が訪れ、電車は大混雑していた。

記念行事としては太っ腹なイベント。この裏には池上線を「選ばれる沿線」にしようともくろむ東急電鉄の思惑がある。池上線フリー乗車デーははたして「選ばれる沿線」となる「きっかけ」となったのか。当日の様子と併せて考えてみたい。

大盛況の池上線フリー乗車デー

11時過ぎの五反田駅。到着した電車は朝ラッシュ並みの混雑で、ホームに降りた人々と乗車しようとする人々が、もみくちゃになっていた。五反田駅のホームは決して広くはなく、危険を感じそうな光景だ。

電車も遅れに遅れ、10.9kmの距離を22分かけてゆっくりと走る電車はさらに鈍足になっていた。中には所要時間が35分もかかった電車もあったくらいだ。この日は11時から16時台を中心に混雑と遅れが発生していたようだ。

昭和20年代に池上線を走っていた旧3000系がモデルの「きになる電車」。フリー乗車デーでも大活躍(筆者撮影)

こうした状況だと人々も殺気だっているのかと思えば、案外鷹揚(おうよう)に構えていた。時折混雑に対する愚痴のような声が聞こえてきたものの、全体としてはめったにないこのようなイベントにお祭りやアトラクションのようなものを感じていたのかもしれない。

沿線に住む人は「朝ラッシュでもこんなに混雑していたことがない。もしかすると今まででいちばん混雑しているのでは」と驚きつつ、「池上線の知名度が上がるのでうれしいし、沿線の人もそこまで困っていないと思う」とフリー乗車デーを歓迎していた。

大混雑の電車が戸越銀座駅に到着すると、ホームは大混雑。新築の木造駅舎を楽しむ間もなく改札を抜けた。さらに、駅を出ても通りいっぱいに人がごった返している。

戸越銀座商店街は都内でも知名度のある商店街のため、訪れる人もそれなりに多い。ただ、この日は通常の5倍以上の人がいたのではなかろうか。一部の店には長い行列も見られた。

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