スバル、無資格検査で対策費用100億円計上 今期業績と米中販売を下方修正
[東京 6日 ロイター] - SUBARU(スバル)は6日、2018年3月期の連結業績予想を下方修正した。営業利益は前期比7.5%減の3800億円の見通し。従来の4100億円から300億円下振れる。新車出荷前の完成検査を無資格者が行っていた問題で対策費用100億円を計上するほか、米国や中国での自動車販売計画を引き下げた。
トムソン・ロイターが算出したアナリスト22人の今期営業利益の予測平均値は4460億円で、会社側の修正値は市場予想を下回る。
今期の売上高予想は前期比1.6%増の3兆3800億円(従来は3兆4200億円)、純利益予想は同26.7%減の2070億円(同2285億円)に下方修正した。
吉永泰之社長は同日の決算会見で、無資格者による検査問題の対策費用を当初の2倍の100億円とした理由について「リコール対象台数、やり方を変えたわけではない」とし、「100億円すべて使うと決めたわけではないが、『50億円が上限だ』というような現場の動きにならないよう、信頼回復を最優先して必要な手を打つ」と説明した。10月27日の会見では、約25万5000台を対象にリコール(回収・無償修理)を行い、リコール費用を50億円強としていた。
販売への影響は現時点で「見通せない」(吉永社長)ため、業績予想に織り込んでいない。今週を予定していたリコール実施は来週になる予定。原因究明と再発防止策に向けて、外部の弁護士約20人による再調査を行い、1カ月後をめどに国交省に調査結果を報告するという。
7―9月米販売6年ぶり減少、値引き競争激化
今期の自動車販売計画は従来の110万5500台から106万7900台に引き下げた。米国を68万7700台から66万8000台に、中国は4万2300台から2万9800台に減らす。米中ともに値引き競争が激化しているため。
7―9月期の米国販売は前年同期比7.3%減の15万9300台で、同じ期として11年以来6年ぶりに減少した。中国は同約52%減の5800台だった。
吉永社長は、米国では「台数を伸ばすためにインセンティブ(販売奨励金)を積み増すのではなく、在庫を過剰に持たず、台当たり利益を確保する」と強調。来年発売予定の新型SUV「アセント」は「月販5000台より高い目標になる」として販売増に寄与するとの見通しを示した。
中国については、現地やドイツの企業を中心に「供給能力が非常に高く、激しい値引き競争が起きている」と説明。スバルは現地生産せず日本から輸出しており、「世界的にスバル車が足りない中で大幅な値引きをして販売するよりは1台1台を大切に売る戦略を取る。販売減少はある意味、覚悟の上での選択だ」と語った。
(白木真紀 編集:石田仁志)
記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら
印刷ページの表示はログインが必要です。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら