なぜ老人は「悪口」だけしっかり聞こえるのか 「介護疲れ」はこうすればラクになる
高齢者は、高音よりも低音のほうがよく聞こえる
高齢者というとよく話に出るのが、「本人に都合の悪いことは、まったく聞こえない」「優しく話しかけても無視をされる」、けれども「悪口を話しているときは、なぜかしっかりと聞かれている」。「地獄耳」なのではないか?とも思われますが、実はこれ、老化による聴覚の特徴的な変化が原因なのです。
老化によって聴覚が衰えるということは知られていますが、均一に衰えるわけではないのです。若い頃であれば、音が高いか低いかによって聞こえ方に大きな違いはありあせん。しかし、高齢になると高い音のほうが著しく聞こえにくくなってくるのです。低音(500Hz)に比べると高音(2000Hz)で伝えるには1.5倍の音量を必要とするという研究データもあるくらいです。
悪口や愚痴はたいてい、トーンを落として話しますよね。すると声が低くなりますから、高齢者に聞かれやすくなってしまうのです。逆に何かを熱心に伝えたいときこそ、感情が高ぶったりして声が高くなりがちですから、伝わらないことが増えるのです。
ただ、この「高音よりも低音が聞こえやすい」という特徴を上手に利用することもできます。介護などでどうしても伝えたいことこそ、落ち着いて低めの声で話しかけてください。
一方で、介護をしているとどうしてもイライラして、悪口も言いたくなります。そんなときは、「どうせ聞こえていない」と高をくくらず、本人の近くでは話さないようにしましょう。
これらに気をつけると、高齢者に何かを伝えるのはだいぶラクになるはずです。
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