医療費や入院することで生じる費用は、貯蓄から支払えばいいですし、万が一治療が長引いたとしても、直近12カ月間にすでに3カ月以上高額療養費の支給を受けている場合には(多数回該当の場合)、その月(4カ月目)以降の負担の上限額は4万4400円に下がります。このように、私たちが毎月保険料を支払っている公的健康保障制度はかなり手厚いので、貯蓄をしておけば、医療保険に入る必要はほとんどありません。「もしも」のために、医療保険に加入して保険料を支払うよりも、その分の保険料を貯蓄に回すほうがよほど安心だと思います。
「就業不能保険」に入るのは、正しい選択?
岩城:そして、さらに、「就業不能保険」を勧められたのですね。
徳田さん:そうなんです。やっぱり、私にもしものことがあったら、と。
岩城:就業不能保険は、働けないリスクに対する保障する保険です。医療保険でカバーされるのは入院中ですが、在宅での療養の際に保障をしてくれるというものです。病気やケガで長期間就業不能状態になったとき、お給料のように給付されます(損保では「所得補償保険」と言います)。
欧米では、歴史も長く、広く普及していますが、日本では知名度が低かったのです。しかし大手保険会社が人気タレントを起用してコマーシャル展開したことから、多くの人に知られるようになりましたし、取り扱う会社も増えました。おっしゃるように、住宅ローンを抱えていたりすると、公的保障だけでは不安だと思われる方も多いでしょう。事実、生活保護世帯の開始理由のうち、40.3%が「世帯主の傷病」だというデータもあります。また、死亡率に対する障害発生率(障害発生率÷死亡率)をみると、 男子は60~80%、女子はさらに大きく35~44歳では210%。障害発生率は、死亡率に対し小さくありません(「わが国におけるディサビリティ保険市場の発展と課題」ライフネット生命より)。
岩城:しかし、会社員ならまず会社の年次有給休暇(年休)が利用できますし、それでもまだ働けずに、お給料がもらえない場合は、今度は健康保険から「傷病手当金」が受け取れます。平常時の標準報酬日額の3分の2を、最長1年6カ月間受給できます。さらに治療が長引いた場合は、障害年金の対象となる可能性があります。
徳田さん:でも、私は今フリーランスですし。しかも私が寝込んでしまったら、家事や育児を頼まなくてはならなくなるので、金銭的負担は大きくなりますよね。
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