「30代子育て夫婦」は保険で大失敗しやすい 人生のリスクはどこまで保険でカバーする?

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確かに、徳田さんのように不安を持っている人は多いようです。生命保険文化センターの「生活保障に関する調査」(2016年)でも、「病気やケガに対する不安」「老後生活に対する不安」「死亡時の遺族の生活に対する不安」「自分の介護に対する不安」のうち、「病気やケガに対する不安」を持っている人は「90.1%」で、最も高くなっています。そして、この3つの不安に対する準備を見ると、「医療保険に加入している」が84.2%と最も高くなっています(「死亡保障73.5%、「老後保障」64.8%、「介護保障」47.8%)。

保障を充実させても、病気にかかるリスクは減らない

岩城:しかし、これははたして経済合理的な行動なのでしょうか。徳田さんは、高額療養費制度のことはご存じですか?

徳田さん:知っています。夫の勤務先の健康組合では高額療養費の付加給付もあります。なので夫は会社の団体保険に入っているだけです。

岩城:付加給付があれば、自己負担はさらに軽減されますね。高額療養費制度では、同じ月に同じ病院でかかった療養費が、自己負担限度額を超えたときに支払われます。たとえば、医療費が100万円かかったとします。窓口負担(3割)は30万円ですが、そのうちの21万2570円は高額療養費として支給され、実際の自己負担額は、8万7430円です(70歳未満の給与所得者で、月額28万円以上53万円未満の場合)。さらに自己負担の軽減をはかるため、健保独自の給付(付加給付)がある場合もあります。自己負担限度額のうち、基準額を超えた分が「付加給付」として支給されます。

しかしながら、前出の調査で「入院経験がある人の、直近の入院時の高額療養費制度の利用経験」をみると、「高額療養費制度を利用した」は 60.5 %、「利用しなかった」は 29.2 %ということですから、まだまだ知らない人も多いようです。

徳田さん:実際には、入院したとしてもある程度の貯蓄があれば、そう困ることもないとわかってはいるのです。でも保険を提案されると、保障を充実させるともっと安心なのかもと思ってしまうのです。

岩城:保障を充実させるともっと安心、ですか。確かに、人は、自分の不安を解消するための対策を講じると、安心感を覚えますね。「保険に守られている」というフレーズは、保険会社もよく使いますしね。しかし、保障をたくさん持ったからといって、病気の罹患率が下がるわけではありません。この連載でも再々お伝えしているように、保障は必要最小限にとどめるのが原則ですし、徳田さんの場合、保険は本当に必要なのでしょうか。

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