――考え方のスケールが違いますね。ほかに狙っている車両はあるんですか?
「いまのところないです(笑)。もう置き場所もないし。肉牛を売ってどんどん買い換えてきたから、もうおカネもない。やっと今年の初めくらいから車両の補修を始めたんです。鉄道車両も古いものは傷みが激しい。デハ701も修理しないとならないし、駅名板も木が腐って片方補修している状態。これからは保存維持が課題ですね」
ほかにはないタイプの博物館

最近は、土曜・日曜を中心に丘の上にある寝台車両内を公開しているようだが、心ない客が備品を持っていくこともあるらしい。なんとも悲しい行為である。鉄道ファンなら、むしろ募金をしたり、卵をたくさん買ったりして、保存に協力すべきではないだろうか。
「鉄道博物館は数あれど、ここは会社の縛りがないために、いろいろな鉄道会社の車両を保存しています。そして鉄道という形態の、さまざまなジャンルを同時に見ることができる。これはほかではできないことだよね。もう途中で放り出すわけにはいかないけど、こんなに大変だと知っていたらやらなかった(笑)」

村石社長の心意気に感謝しつつ、「カフェTKG」でたまごかけごはんをいただく。使われているのは「庭先たまご」という、屋外で放し飼いにされた元気な鶏が産んだ新鮮な卵。万葉線の車両内で売られているので、お土産にも買った。
「ポッポの丘」は、親しみやすい呼び名をということで付けられた名前らしいが、御宿には「レトロぶーぶ館」という同経営施設もある。こちらはレトロな車がたくさん展示されており、貴重な鉄道標識なども保存されている。もちろんこちらでも卵は売られている。
卵を買うことで車両保存に少しでも協力できるなら、これからも来る度に買いたい。そして鉄道車両を見ながら食べる「たまごかけごはん」は最高に美味しいのであった。
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