千葉「ポッポの丘」、私設鉄博は養鶏場だった 車両より輸送費が高い!車両保存展示場秘話

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鉄道車両が増え、鉄道ファンが来るようになると、あそこの車両が引退する、とか、あそこに車両がある、などの情報が入ってくる。

かつて保存されていた青函連絡船「羊蹄丸」内部の展示車だった、DE10形ディーゼル機関車から見た寝台車両と国鉄車両(撮影:坪内政美)

「線路が100mあるのに機関車1両じゃもったいない。どうやら茂原の住宅地の間に黒いのが4両あると情報があった。1987(昭和62)年の国鉄分割民営化で大量払い下げのときに引き取っていたらしく、それを無料譲渡してもらうことになりました。しかしすでに24年も経っていて、周りに家が建ったりなどでまるで出せない(笑)。仕方なく隣の土地の山の掃除をして場所を広げ、なんとかクレーンで取り出しました。丸ノ内線は営団(現・東京メトロ)がかつて展示車両を売った際、そのうち1両が抽選で東京・目黒の日の出幼稚園に当たった。それをもらい受けました」

肉牛と引き換えに増えた車両

次々に鉄道車両を買う村石社長。しかし最初にいすみ鉄道の車両を買った頃から、畜産業を辞めようかと考えていたという。

平成13年にBSE問題が起き、その後も投機マネーの乱高下により為替レートが変動、輸入に頼っていた餌がかつての3、4倍の値段にハネ上がり、すっかり赤字となってしまった。震災の影響も大きい。

――安い卵の販売で鉄道車両を買うなんてすごいな、と思っていましたが。

こんな車両も保存されている。神奈川県・大山ケーブルで使用されていたケーブルカー「たんざわ号」(撮影:坪内政美)

「いやいや、つまり、牛を売って鉄道車両に置き換えていったわけです。従業員も大勢いたので、いきなり畜産業を辞めるというわけにはいかない。1000頭ほどいた肉牛を徐々に減らし始めました。鉄道車両は餌もいらないし、糞もしない。人件費もかからない。そんなにおカネはかからないだろう、と思ったんですよね。今は牛はまったくいません。鶏もだいぶ縮小している。大量飼育はやめ、ちょっと高級な放し飼いの鶏の卵のみ売っています」

――でも鉄道車両はおカネは産まないですよね?

「赤字にならないからまだいいじゃないですか。畜産をやっていたら、どんどんおカネが出ていくわけですからね。とりあえず20両くらいあれば、鉄道博物館ぽくなるだろう、と」

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