名門校「君たちはどう生きるか」を問う授業

教師たちが込めた受験勉強よりも大事な教え

灘では、折り紙を利用して、古代ギリシャの作図不可能問題を解いていた(写真:筆者提供)

開成、筑駒、灘などと聞くと、いかにも青白き天才が集い、毎日受験勉強漬けの生活を送っているのではないかと誤解している人がいるかもしれない。しかし実際は、名門校と呼ばれる進学校ほど、受験勉強以外の教育により多くの時間を割いている。受験勉強もやらねばならぬが、それだけで学校生活を終わってしまうのはもったいないというスタンスが共通している。

かといって、はやりのプログラミングや欧米人顔負けのプレゼンテーション、ネーティブに迫る英会話を教え込み、エリートビジネスマンの促成栽培をしているわけではない。中高生のうちに、中高生のときにしかできないことをすべきであるというスタンスも共通している。

では、何を教えているのか。一言で言えば、どんな時代になっても生きていけるための基礎力である。

東京ドーム15個分という広大な校地を生かした早稲田本庄の「大久保山学」(写真:筆者提供)

ユニークな授業の裏に隠された深い意図

時代が急速に変わっているのだから、教育も変わらなければいけないとよくいわれる。確かに時代は急速に変わっている。しかし人間の本質はそんなに変わっていない。『万葉集』を読めば、古代の人の心情が伝わる。『論語』を読めば、2500年以上前の異国の人々の知恵に感嘆する。変わっているのは人間ではなく、社会の仕組みである。

新しい仕組みに対応することは必要だが、その前に人間としての足腰を鍛えておかなければどんな時代だって生き抜くことはおぼつかない。足腰さえ鍛えておけば、時代がどちらの方向に揺れ動こうが、自分の足でしっかり立つことができる。最新の世の中の仕組みを知っていても、足腰が弱ければ転んでしまう。

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