民進系「右往左往」と政府・自民「驕り」の復活 質問時間逆転を迫る自民、対抗できない野党

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いわゆる「加計疑惑」に絡んで政府・自民党が先送りしてきたとされる、文科省大学設置審議会での加計学園・獣医学部新設認可に関する最終決定や、森友学園問題での会計検査院の検査結果公表は、いずれも11月中に予定されている。だからこそ政府・自民党は「本格的な野党の追及」を年明けに先送りしたい思惑もあって、質問時間配分や国会会期設定で野党を揺さぶっているのだ。

特別国会が召集される1日は午前中の閣議で現内閣が総辞職し、昼前後の衆参本会議で議席指定や正副議長選挙などいわゆる院の構成を決めた上で首相指名選挙を実施、それを受けて首相が前内閣閣僚全員を再任して第4次安倍内閣を発足させる段取りだ。その後、首相は5日のトランプ米大統領初訪日による日米首脳会談を手始めに、14日まで連続するアジアの国際会議での首脳外交に専念することになる。

「化けの皮」がはがれれば「国民の信任」は崩壊

すべては、選挙での自民圧勝による「安倍1強継続」を背景とした安倍政権の優位性がもたらしたもので、敗北した野党陣営のみっともない離合集散劇がそれを後押ししている構図だ。3分裂した民進系各党はいずれも次期総選挙での政権交代を叫ぶ一方で、「仲間内での多数派工作に血道をあげている」(自民幹部)のでは安倍1強に対抗する術もないのは当然でもある。

しかし、それをいいことに「悪だくみも繰り出して野党を揺さぶれば、政権側も国民からのしっぺ返しを受ける」(首相経験者)ことは歴史が証明している。直近の世論調査をみると、選挙後にいったん支持が不支持を上回った内閣支持率が、再び逆転する数字も出始めている。首相らの「謙虚一点張り」の"化けの皮"が早くもはがれるようでは、漁夫の利で勝ち取った「国民の政権への信任」は時を置かずに崩壊しかねない。

泉 宏 政治ジャーナリスト

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いずみ ひろし / Hiroshi Izumi

1947年生まれ。時事通信社政治部記者として田中角栄首相の総理番で取材活動を始めて以来40年以上、永田町・霞が関で政治を見続けている。時事通信社政治部長、同社取締役編集担当を経て2009年から現職。幼少時から都心部に住み、半世紀以上も国会周辺を徘徊してきた。「生涯一記者」がモットー。

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