米国経済の正常化、「設備投資」が決め手 景気・経済観測(米国)

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このような設備投資の弱さについて、一部では、米企業のアニマル・スピリットが弱まり、バブル崩壊後の日本のような経済の長期低迷につながるのではないかという、いわゆる「日本化」懸念も生じている。

不確実性の高まりが投資低迷の背景

景気が回復しているにもかかわらず、企業が設備投資に慎重な理由として挙げられているのが、経済の先行き不透明感である。一般的に、将来の事業環境における不確実性が高い状況では、企業は新たな投資に対して慎重にならざるをえないからだ。

 実際、米国では景気が回復局面に入った2009年後半以降も、経済の先行き不透明感が強い状態が続いてきた。

図は、スタンフォード大学とシカゴ大学の研究者が開発した「経済政策不確実性指数」を見たものである。同指数は、米主要新聞10紙に掲載された財政・金融政策面の不確実性に関する記事の数や、将来的に失効が予定されている一時的な税制変更の数などから算出され、数値が高いほど先行き不透明感が強いことを示す。

これを見ると、金融危機以来、つねに過去平均を大きく上回る水準であったことがわかる。とりわけ、2011年夏の連邦政府債務のデフォルト危機や、2012年末の財政の崖問題が懸念された際には、同指数が大きく上昇し、不透明感が急速に強まったことがうかがえる。

また、先行き不透明感に加えて、企業の資金調達環境が大幅に悪化したことも、設備投資の回復を抑える要因として挙げられるだろう。事実、FRB(連邦準備制度理事会)が発表する銀行貸出担当者調査を見ると、サブプライム・ローン問題への懸念が本格化し始めた2007年半ば以降、大企業向け・中小企業向けともに貸し出し基準が急速に厳格化した。

住宅を担保として銀行から融資を受けるケースが多い中小企業では、貸し倒れリスクの高まりのほか、住宅バブル崩壊による担保価値の急落も、こうした貸し出し基準の厳格化につながったとみられる。

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