米国の第3四半期GDP3.0%増、底堅い伸び維持 市場予想の前期比2.5%増を大きく上回る

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10月27日、第3・四半期の米GDP速報値は前期比3%増と、市場予想の2.5%増を上回った。写真は2016年3月、ニューヨークで撮影(2017年 ロイター/Lucas Jackson)

[ワシントン 27日 ロイター] - 米商務省が27日発表した第3・四半期の国内総生産(GDP)の速報値は、年率換算で前期比3.0%増と、底堅い伸びを維持した。市場予想の2.5%増を上回った。在庫投資が増えたほか、貿易赤字が縮小した。

第2・四半期GDPは3.1%増だった。

商務省当局者は、ハリケーン「ハービー」と「イルマ」が第3・四半期GDPへ与えた影響を算出することは不可能とした上で、両ハリケーンによる損失額は民間の固定資産で1210億ドル、公共の固定資産では104億ドルだったとした。

ハービーとイルマは8月下旬と9月上旬にテキサス州とフロリダ州の一部を直撃した。米領プエルトリコとバージン諸島のインフラ設備を破壊したハリケーン「マリア」は第3・四半期GDP統計に影響しなかった。プエルトリコとバージン諸島は米国の国家統計に含まれないからだ。

RDQエコノミクスの首席エコノミスト、ジョン・ライディング氏は「第3・四半期終盤にかけて2つのハリケーンが直撃したにしては明るい統計だが、3.0%増となった全体のGDPが示唆するほど経済は底堅くない」と指摘。

ナットウエスト・マーケッツの首席米国エコノミスト、ミシェル・ギラード氏は、「米経済成長が堅調な地合いを維持していることが示され、統計全般に加え、構成内容もFRB当局者にとり心強い結果となった」と述べた。

また、JPモルガンのエコノミスト、マイケル・フェロリ氏は「ハリケーンがどの程度GDP統計に影響を及ぼしたのか推し量るのは難しい」としながらも、「ハリケーン被害からの復興需要により、住宅投資が押し上げられる」との見方を示した。

在庫投資を除いたGDPは2.3%増と、前期の2.9%増から鈍化した。

ハリケーン後、労働市場や小売売上高、鉱工業生産の統計は既に基調的な経済活動がペースを上げていることを示す。GDP統計の内容はまちまちだが、短期的な金融政策に影響を与えることはないとみられる。FRBは12月に、今年3度目となる利上げをする見込みだ。

2007-2009年の景気後退期から、経済は8年連続で伸びており、軟調な兆しはあまりない。オバマ前大統領の1期目から始まった労働市場の引き締まりは大方、好調を維持しており、経済の押し上げ要因となっている。

第3・四半期GDPの内訳は、底堅い需要を見込んで在庫投資が358億ドルとなった。GDPへの寄与度は0.73%ポイント。第2・四半期の寄与度は0.1%ポイントをやや上回る程度だった。

輸出は2.3%増。輸入は0.8%減と、3年ぶりの大幅な落ち込みだった。結果として貿易赤字は縮小した。貿易のGDPへの寄与度は0.41%ポイントとなった。3期連続でGDPの押し上げ要因となっている。

米経済の3分の2以上を占める個人消費は2.4%増と、前期の3.3%増から鈍化した。ハービーとイルマの影響で所得が減ったほか、8月の小売売上高が落ち込んだ。

個人消費が鈍化する中でもインフレは加速した。ハリケーンによってサプライチェーンに影響が出たためとみられる。食品・エネルギーを除くコア個人消費支出(PCE)価格指数は前年同期比で1.3%上昇し、前期の0.9%上昇から伸びが拡大した。FRBは同指数を物価の目安としている。

インフレ率が上昇する中で可処分所得は0.6%増と、前期の3.3%増から急減速した。

住宅以外のインフラ投資は5.2%減と、2年近くぶりの大幅な落ち込みだった。前期は7.0%増だった。石油探索や立坑・油井への投資が21.7%増と、第2・四半期の116.3%増から鈍化したことを反映。

用地や熟練工の不足でハリケーンが直撃する前から低迷していた住宅投資は6.0%減と、2期連続で落ち込んだ。

企業の機器投資は8.6%増と、4期連続でプラスとなった。政府支出は3期連続でマイナスだった。

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