楽天・JAL・ANAが頼ったデータ分析の「超新星」 「どうも」が社名の由来、親日家CEOの素顔
たとえば全米5位の小売チェーン、ターゲットでは、ドーモで分析したデータを見ていると、フロリダ州で午前9時半に売り上げが急に伸びる日があることに気づいた。だが、その理由を営業担当者は知らなかった。現地スタッフに尋ねると、「ハリケーン警報が出ると買いだめする客が増えるからです」との答え。そこでタイミングを見計らってトラックによる配送量を増やしたところ、フロリダ州での売上高が200万ドル伸びた。
リアルタイムでのデータ把握や計画管理もウリだ。たとえば英国の3月の祝日、聖パトリックデーではキャベツが大量に売れるが、ドーモなら何個のキャベツがどこで売れて、在庫がどこに何個あるかを1分刻みで把握できるという。
1分単位でデータをつかめるため、1日単位、週単位、月単位、年単位での計画未達幅もリアルタイムでわかり、計画達成に必要な手立てを早く講じることができる。「今までの月ごと、四半期ごとのリポートでは手遅れになりがちだ」(ジェイムズ氏)。
目指すは「ビーチで寝そべりながらの経営」
ドーモはこれまでに6.9億ドル超の資金調達を実施している。そのほとんどをデータ分析プラットフォームの開発に投じたという。「社内外の必要なデータへの接続、整理、見える化、共有、最適化。それぞれの分野を専門とする会社は世界に数百社ずつある。だが1社ですべてできるのはドーモだけだ」と、ジェイムズ氏は自社の優位性を説明する。
ジェイムズ氏が描くのは、ビーチで寝そべりながらでも企業経営ができる将来像だ。「たとえば、ドーモが(工場などの)パイプラインの出力異常をスマートフォンにリアルタイムで知らせてくる。その対策はスマホですぐに指示できる。あるいは、2人の社員が最近会社を辞めたとする。そのことと売上高の減少との関係を即座に分析してくれるので、問題が大きくなることを未然に防ぐことができる」(ジェイムズCEO)。
表計算ソフトの巨大なスプレッドシートを前にして、経営者が頭を抱える時代は過ぎ去りつつあるということだろう。ジェイムズ氏は、大量のデータを分析し、データに基づいて判断・行動するデータドリブン時代の申し子、いわば「データドリブン王子」ともいえる存在なのかもしれない。
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