インドのEV政策でトヨタとスズキが大慌て 日印共同声明ではHVへの言及もあったが…
2020年代半ばには人口で中国を抜き、世界トップになる見込みのインド。自動車市場としても世界から熱い視線が注がれている。トヨタやスズキなど日本メーカーはハイブリッド車(HV)を投入しようとしていたが、インドでも電気自動車(EV)シフトが進み、雲行きが怪しくなっている。日本車メーカーは日本政府を巻き込んでHVへの理解をインド政府に求めているが、その成算はあるのだろうか。
HVを飛び越えEV普及に邁進するインド
インドがEVに大きく舵を切り始めたのは今年5月末のこと。「2030年までにガソリン車、ディーゼル車の販売を禁止し、EVのみにする」という方針をインド政府の関係機関「NITI Aayog」が明らかにしたのだ。日本の経済産業省は「政府の関係機関がEVに限るという方針を示したもので、必ずしも政府が決定したわけではない」と受け止めているが、HVを飛び越して、EVへシフトする可能性が出てきた。
それまでは2013年に発表された「国家電気自動車ミッション計画2020」(NEMMP)に基づき、2020年までにEVとHVの合計で年間販売台数を600万~700万台規模に拡大する計画だった。それが今年に入ってEVとHVを両にらみで普及させる方針に変化が生じつつあるのだ。
そうした動きに追い打ちをかけたのがインド国内の税制改革だ。インド政府は2017年7月、物品やサービスにかかる税制を統一・簡素化し、物品・サービス税(GST)を導入した。自動車の場合、標準税率は28%となった。ところがプリウスやアコードハイブリッドなどの税率は43%(プリウスなどはインド国内では大型車に分類され、GST導入前は30%)となった。
一方、EVは12%(GST導入前は23.3%)に低く抑えられた。HVにかかるGSTはEVの税率に比べ30ポイント以上上回ることになった。税込み価格でみると、本体価格が同じでもHVがEVよりも3割ほど高くなる。インド政府はEV購入に税制上のインセンティブを与え、EV普及に弾みをつけようとしているのだ。
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