当たり前だが、生理中の女性の血は青くない タブーを破った英ボディーフォームの過激度

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「生理のタブー視は、社会にとって有害だ」と、ボディーフォームのマーケティングマネジャーを務めるトレイシー・バクスターは言う。「生理用品のリーディングカンパニーとしてタブーに挑み、生理を恥や穢れとする風潮を取り除きたい。どんなタブーも、より多くの人が目にすることで、普通に受け止められる日がくると信じている」

ボディーフォームは昨年、業界で初めてナプキンの使い方を実演した動画を使ったCMを制作した。サーカス団の女性アーティストが下着にナプキンを装着する。他にも、ボクシングやロッククライミングなどで血を流しながらも頑張る女性にスポットライトを当てたCMを制作したことがある。当時のキャッチフレーズは「どんな血もあなたを止められない」。生理中でも激しい運動をあきらめなくてもいいというメッセージも込めていた。

#ChallengeBodyform - Trapeze

「生理」という言葉は85年までタブーだった

メディアがいまだに生理に関するリアルな表現を躊躇するのは時代遅れだと感じるかもしれないが、アメリカのテレビ業界では、「生理」という言葉自体が一切使えない時代があった。テレビで初めて「生理」という言葉を使ったのは、米人気ドラマ「フレンズ」でブレイクする前のコートニー・コックスが出演した1985年のタンポンのCMだ。ちなみに生理用品のCMもその10年前にようやく始まったばかりだ。

清涼飲料や洗濯用洗剤にそっくりな青色の液体は、「まだ生理が始まっていない少女たちに対して、まったく現実と異なるイメージを与えてしまう」と、英教育団体「ザ・セルフエスティーム・チーム」の共同設立者であるナディア・メンドサは言う。「初めての生理はただでさえ大変なのに、予想外の出血を見れば一層不安になる。青色の液体は少女たちを混乱させるだけだ」

生理をタブー視しない運動への支持は広がっているが、今のところアメリカの生理用品のCMの血はまだ青いまま。もしかするとそれが真実と信じ込んだ男性たちが作っているのかもしれない。

Blood

(文:スタブ・ジブ、翻訳:河原里香)

「ニューズウィーク日本版」ウェブ編集部

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