「安倍総理がんばれ!!」に滲み出た自公の焦燥 立憲民主党の人気が"緊張感"をもたらした

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立憲民主党が10月21日18時から新宿駅南口バスタ新宿前で行った「東京大作戦ファイナル街頭演説会」。荒天にもかかわらず多くの有権者が集まった(写真:ロイター/アフロ)

さて今回の衆院選の注目の的になった立憲民主党の枝野幸男代表は大宮駅東口でマイク納めを行ったが、その前には新宿駅南口でも大規模な街宣を行った。道路を挟んで両側の歩道は観衆であふれた。また陸橋やバスタの2階から街宣を眺める人も多かった。

この場所は昨年7月の都知事選で、民進党が街宣会場として使用した場所だ。だがその時と熱気も雰囲気もまったく違っていた。集まった人たちの表情は極めて明るい。

2009年の衆院選も期日前投票が多かった

ただ14日の新宿駅東南口や池袋で行った街宣の盛り上がりの方が大きかったように思えた。台風の影響もあるだろうが、もう少し選挙戦が長ければ、右肩上がりだった立憲民主党の人気が失速する可能性もあった。まさに絶妙なタイミングに恵まれた立憲民主党は運がいい。当初は希望の党への参加が叶わなかったために結成された立憲民主党だが、最終的にはその勢いは希望の党をはるかにしのぎ、ほぼ頂点で投開票日を迎えたからだ。

今回の衆院選は台風21号の接近もあって、期日前投票が大きく増えた。総務省の発表によると、20日までに期日前投票を行った人は1564万5349人で過去最多になった。これまでの最多は1398万4085人の2009年で、これは民主党が政権を獲得した衆院選だ。

期日前投票が多いことは何を意味するのか。このことに、盤石と言われる自民党は懸念を抱いている。ある自民党のベテラン議員の秘書はこう打ち明けた。「2009年の衆院選で、うちは民主党の候補に当初はリードしていた。ところが期日前投票の分が加えられると、一気に逆転されてしまった。今回もそんな予感がして仕方ない。絶対に油断はできない」。

自公優勢とする大手メディア各社の調査の傾向は、選挙戦終盤まで変わらなかったが、これから年末にかけて、新しいドラマが待ち受けているのかもしれない。

安積 明子 ジャーナリスト

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あづみ あきこ / Akiko Azumi

兵庫県生まれ。慶應義塾大学経済学部卒。1994年国会議員政策担当秘書資格試験合格。参院議員の政策担当秘書として勤務の後、各媒体でコラムを執筆し、テレビ・ラジオで政治についても解説。取材の対象は自公から共産党まで幅広く、フリーランスにも開放されている金曜日午後の官房長官会見には必ず参加する。2016年に『野党共闘(泣)。』、2017年12月には『"小池"にはまって、さあ大変!「希望の党」の凋落と突然の代表辞任』(以上ワニブックスPLUS新書)を上梓。

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