「安倍総理がんばれ!!」に滲み出た自公の焦燥 立憲民主党の人気が"緊張感"をもたらした

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街宣では友党の公明党から竹谷とし子参議院議員が応援演説し、麻生太郎財務相兼副総理もマイクを握る。音楽が流されていよいよ安倍首相の番になると、いちだんと大きな歓声が響いた。

「看板を替えたからといって、あの3年3カ月はなくならない。国民を欺くことは、騙すことはできない。その選択をこの選挙区で出そうじゃありませんか」

安倍首相の演説はまず、かつての民主党政権を批判するところから始まった。経済が低迷し、日米同盟が危機に陥ったことを次々と語る。安倍首相の本音としては、政権を奪還した「2012年の衆院選よ、再び」といったところだろう。

政策の中で最も強調したのは外交防衛だ。その中心は北朝鮮に対する危機対応で、11月に来日予定のドナルド・トランプ米大統領との強い絆を力説した。「強い日本」を主張することこそ、安倍首相の最大の強み。それをアピールする都度、日の丸がはためいた。

自民党の動員力を見せつけたのは秋葉原だけではない。午後2時の中野駅北口には、これまでにない数の人々が溢れていた。

きわめて高い小泉進次郎氏の人気

彼らの目当ては小泉進次郎自民党筆頭副幹事長だ。街宣車の上には東京7区の松本文明氏と東京10区の鈴木隼人氏が立ち並ぶ。いずれも自民党の最重点区で、安倍首相は衆議院を解散した9月28日夕方、山口那津男公明党代表とともに7区内の渋谷駅前で街宣した。また10区は希望の党の小池百合子代表の地元で、自民党を離党した若狭勝氏が立候補している。自民党にとっては負けられない選挙区だ。

その10区に進次郎氏はこの日2度応援に入っている。すでに小泉氏は10月10日の公示の日には、池袋東口で街宣して多くの人を集めた。21日は午後4時半から池袋駅西口で街宣が行われたが、そのすぐ近くに小池氏と若狭氏の事務所がある。失速している希望の党に、進次郎人気を見せつけたといえるだろう。

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