ビームス、「株式上場をしない僕たちの本音」 

最先端を走り続けるセレクトショップの流儀

――ラグジュアリーやファストファッションではない中価格帯は、競争が激しい。差別化についてどう考えていますか。

売れない商品も店に置く、売り上げが急拡大し始めた商品は販売をやめる、この2つの考え方を一貫している。同じ商品が多くの人に売れれば利益が取れる。だが、そのおいしいところをあえて捨ててきた。僕らのターゲットは、ファッション感度の高い、リーダー的存在の人たちだからだ。

POSデータがハネ上がったときがいちばん危ない

――おいしいところをあえて捨ててしまうと、どこで利益を取るのですか。

マスの人々に売れ始めたときにようやく利益が取れるという形にしている。ファッション感度の高い人たちのボリュームは上に行くほど小さい。僕たちには「気づきのタイムラグ」と呼んでいる考え方がある。

流行の変化にいちばん早く気づくのが「サイバー」。流行の先端を取り入れるのが「イノベーター」。流行を周囲に発信する、おしゃれ番長のような存在が「オピニオン」。そして「マス」。そう名付け、マスの上位3分の1までをターゲットにしている。下に行くほどゾーンが広い。

たくさん売れていてPOS(販売時点情報管理)データがハネ上がったときがいちばん危ない。マスの人々に売れているとき、感度の高い人たちはすでに店頭から遠ざかってしまっている。売り上げの数字だけ見ていると、その変化がわからない。

店を定点観測し、サイバーやイノベーターが手に取って棚に戻す商品の動向もよく観察している。そういう商品に限って翌年にオピニオンやマスに売れたりする。だから、売れなくても置いておく商品が店には必要になる。

――設楽社長はサイバーやイノベーターのような存在ですか。

僕はファッション好きだけどオタクではない。ミーハーだと思う。(広告代理店の)電通にいたこともあって、生活者がどのような消費行動をするか、一歩引いて頭で考えて分析してしまう。66歳になった現在、昔のようにはやりのスポットで踊り狂っていられない。実際に感じることのできる情熱あふれた若いスタッフに億円単位の買い付けを任せている。ビームスのバイヤーはビームスが好きでたまらないヤツしかいない。

――設楽社長が仕入れる商品はないのですか。

今でも僕が仕入れる商品は少しだけある。通称「ボス品番」(笑)。たとえばリーディンググラス。単に老眼鏡といってしまうとかっこ悪いかもしれないが、僕のような年代のお客さんに親しみを持ってもらえるように、首から掛けてもおしゃれな商品を仕入れたりしている。

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