ロヒンギャ難民50万人超「集団感染」の危機

現地入りした医師が見た悲惨な難民キャンプ

配給の様子。配給車の周りは殺気立った雰囲気すらある。コメや水が配給されたところで、まともな調理器具もない(写真:Antonio Faccilongo)

――食糧配給はあるのか。

新たな難民は全面的に人道援助に頼らざるをえず、国連機関がバングラデシュ軍を通じてコメや食用油、野菜などを供給しているが、難民の急増に追いつかず絶対的に不足している。到着時に1世帯にコメ25キロが支給されるらしいが、配給は不定期で滞りがちなため、乳幼児を抱えた母親たちが炎天下や雨の中、いつ来るともわからない食料を待って路上にあふれる姿が見られる。

難民の多くは鍋釜など調理器具や日用品を持っておらず、仮にコメを支給されてもどうやって食べるのだろうか……。近隣住民からもらった米飯を家族で分け合って食べることもあるようだ。難民たちの表情や様子を見ていると、この数週間で体力的にも精神的にも限界に来ているという印象を受ける。

大型テントの診療所に患者が連日殺到

――医療支援活動の現状は。

MSFとしてマイナゴナに開設した大型テントの診療所で診察・治療を開始し、8月25日以降、MSF7カ所の診療所で計3万人以上を治療した。私自身は10月1~5日、日本人看護師や薬剤師、ロジ担当者、通訳、現地医療スタッフと診療に当たった。

近日中にスタッフを増派して新たな診療所4カ所を設ける計画で、MSFの別のチームも医療支援を展開中だ。バングラデシュ政府は国連機関や国際NGOの活動を受け入れているが、手続きに時間がかかり、医薬品や資機材、現地スタッフの調達が滞っている。

私たちの診療所には1日約300人の患者が連日殺到しているが、治安の関係で夕暮れ前に閉めるため、診療しきれずに翌朝出直してもらうこともある。症状は呼吸器感染症(風邪、肺炎など)、消化器感染症(嘔吐、下痢など)、皮膚病のほか、難民の約半数が裸足なので足のケガが目立つ。避難の最中に銃で撃たれたり切りつけられたりした負傷者、性暴力を受けたとみられる女性患者もいる。

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