バングラデシュとインドは、テロリストが交ざっている可能性を主な理由として、ロヒンギャ難民の永住を拒んでいる。同様の理由から、中国政府もミャンマーの治安維持活動を支持。中国は経済圏構想「一帯一路」の一環として、ラカイン州の港湾開発に73億ドル(約8200億円)を投資しており、国連安全保障理事会でミャンマーを非難しようとすれば、中国がこれを妨害する可能性がある。
利害関係は複雑に絡み合い、ミャンマー政府も機能していないことを考えると、同国民の安全を守る責任はいまやASEANと国連の肩にかかっているといっていい。
紛争停止後に、長期的な和平に向けた次のステップとなるのが、難民の帰還だ。これは悪夢のような作業となる可能性がある。国連難民高等弁務官事務所によると、9月末時点で約70万人ものロヒンギャ難民がバングラデシュに渡っている。ミャンマー軍は、これら難民が戻ってこられないように同国との国境に地雷を埋め込んだ。
スーチー政権がすべきこと
ミャンマーは国際的な人道支援に対して、被害地域への立ち入りを許可しなければならない。
第4のステップは、残虐行為を行った者に責任を取らせることだ。ミャンマー政府は、殺戮に関して独立した公正な捜査を行い、罪人を透明かつ信頼の置ける形で訴追するか、その役割をASEANまたは国連に委ねなければならない。
そして最後に、スーチー政権はロヒンギャを差別する法律を全廃すべきだ。ロヒンギャは市民権を与えられず、医療、教育、雇用へのアクセスは厳しく限定され、移動の自由すら制限されている。
ミャンマーの民主化は壊れやすく、軍部の文民統制の問題、貧困、経済成長など課題が山積している。だが、ロヒンギャ危機の解決こそが最優先であるべきだ。
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