住友ゴムが「ファルケン」の拡販に躍起のワケ ダンロップを欧米で売れない苦境挽回なるか
住友ゴム工業は、2018年1月1日に子会社のダンロップスポーツを吸収合併する。全世界でグループ各社が行ってきたスポーツ事業を一元化、全世界で「ダンロップ」ブランドのスポーツ事業を強化する構えだ。
今年4月に英スポーツダイレクトインターナショナル社が保有する「ダンロップ」商標権を買い取ったことで、スポーツに関しては全世界で「ダンロップ」を扱えるようになった住友ゴム。「スリクソン」や「ゼクシオ」といったゴルフで世界的なブランドに育ったものを引き続き生かしつつ、「ダンロップ」ブランドを全世界で積極的に活用する方針だ。
しかし、タイヤ世界6位の同社が中核に据える「ダンロップ」ブランドのタイヤ事業となると、状況が異なる。世界3強の一角を占める米グッドイヤーとの提携解消後、欧米では同ブランドを原則として扱えなくなっているためだ。
「ダンロップ」ブランドめぐり紆余曲折
住友ゴムの起源は、今はなき英ダンロップ社が1917年に全額出資して設立した日本法人だ。その名もダンロップ護謨(極東)。ダンロップ社は世界で初めて空気入りタイヤを発明した名門企業だが、1980年代になると経営が傾く。住友ゴムがダンロップの保有株を買い取り、本体の支援にも乗り出す。欧米のダンロップ事業も相次いで買収して、立て直しを進めた。
このまま、ダンロップが育っていれば、違った未来となったはずだが、1990年代の「失われた10年」がそれを許さなかった。まず不運だったのが、1995年に発生した阪神・淡路大震災。神戸の本社工場は甚大な被害を受け、再建を断念する。さらにメインバンクの長銀が1998年に破綻。自己資本比率が2割を切る厳しい財務状況の同社にとって、欧米事業を単独で維持し続けることは難しくなった。
1999年に住友ゴムとグッドイヤーは提携。日米欧に計6つの合弁会社を設立し、それぞれが持つ「ダンロップ」「グッドイヤー」両ブランドの生産・販売や共同購買、技術開発などで広く協業することにした。提携初期こそ、住友ゴムはグッドイヤーの技術力を、グッドイヤーは住友ゴムの販路や生産拠点を獲得、メリットは双方にあったという。住友ゴムも2000年度から2014年度まで、売上高は倍、営業利益は3倍超に成長した。
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