プロ野球「ユニフォーム付きチケット」の真価 自チーム以外のファンも球場に呼ぶ仕掛け
チケット入手が困難な対戦カードだったり、ケガで長期間離脱していた選手が復帰したり、何らかの記録が達成されたりすれば、その記憶とともに観戦記念になる。
それに、無料配布限定のデザインの場合もあるし、球団のグッズサイトで売っているものとデザインは同じでも、発注コストを当日のゲームスポンサーの提供で賄っていれば、そのスポンサーの広告タグが付いていて、それが配布された日の思い出と結び付くよい記念品になる。
そして、そもそも買うよりも間違いなく値段は安い。最も安いレプリカユニフォームの価格は球団によってまちまちだが、最低でも4000円以上はする。
しかし、無料配布日のチケット価格が通常の日と同額の場合は、ユニフォームは文字どおりタダ。繁忙期と閑散期でチケット価格に差をつけている球団でも、いちばんチケット価格が安い外野席をユニフォーム配布日であることを理由に5000円、6000円で売るということはない。ファンクラブ会員ではなくても、1900円で買える外野自由席のチケットで、ユニフォームがもらえたりするのだ。
ロッテ球団が始めた「双方向」の提供企画
そんな本拠地でしかもらえないユニフォームを、敵地で応援するファンも入手できるようにしたのが、冒頭に紹介した千葉ロッテの企画チケットだ。今シーズンは西武を除く4球団のビジターユニフォーム付きチケットを、通常価格プラス1500円で販売した。2015年シーズンから始めた他球団との共同企画で、ユニフォームはタダではないし、本拠地でもらう場合よりはプレミアム感は劣るのかもしれないが、「ファンには好評」(千葉ロッテ広報)だという。
初年度は北海道日本ハムファイターズとの間で実施。札幌ドーム開催の日ハム・ロッテ戦3試合で、ビジター応援エリアのチケットの一部をロッテのユニフォーム付きにする一方、QVCマリン(当時)開催のロッテ・日ハム戦2試合で、ビジター応援エリアのチケットの一部を日ハムのユニフォーム付きにした。
2年目の昨年は、対象チームをオリックス・バファローズ、福岡ソフトバンクホークスにも拡大。3年目となった今シーズンは、東北楽天ゴールデンイーグルスとの間でも実施した。
西武に関しては、今シーズン、メットライフドーム開催の西武・ロッテ戦6試合で、ロッテのユニフォーム付きチケットが販売されたものの、ZOZOマリンでは西武のユニフォーム付きチケットは販売されず、双方向での実施にはならなかった。そうなった理由はスケジュールの問題だったので、来期は双方向で実施される可能性が高い。
その西武も同様の企画をソフトバンクとの間で実施、楽天もソフトバンク、オリックス、日本ハムとの間で実施している。
このほか、札幌ドーム開催の日本ハム―ソフトバンク戦、ヤフオク!ドーム開催のソフトバンク―日本ハム戦で、双方のガールズデーユニフォームが、数量限定・先着順で女性のビジターファンを対象に無料配布されている。
実施に当たって検討・調整が必要になるのは、実施時期と販路だ。ビジターユニフォーム付きチケットの対象になるゲームは、本拠地での無料配布後になるように調整しており、シーズン後半に集中しがちなのは、このためだ。
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