プロ野球「ユニフォーム付きチケット」の真価

自チーム以外のファンも球場に呼ぶ仕掛け

チケットの販路は球団によってさまざまではあるものの、基本的にビジターファン向けの企画なので、ホーム球団のチケットサイトではなく一般のプレイガイド経由にしたり、ビジター球団のチケットサイトで販売するなどの配慮がなされている。

プロ野球のチケットの販売権は基本的にホーム球団が持っている(巨人のみ例外で、巨人のチケット販売権は親会社の読売新聞社が持っている)。ビジターユニフォーム付きのチケットは、ホーム球団が相手球団からユニフォームを購入し、ビジター球団のチケットサイトや、プレイガイドに販売を委託する形がとられている。

ビジターファンが購入しやすいように工夫も

自分が応援するチームのサイトは頻繁にのぞいていても、他球団のサイトまで小まめにチェックしているファンは多数派ではない。チケットサイトの設計は球団によって異なるので、「(各球団のファンにとって)慣れたサイトを使ったほうが購入しやすいのではないかと考えた」(千葉ロッテ広報)。

また、一般のプレイガイド経由にしたり、ビジター球団のチケットサイトで販売することは、転売目的で購入する「チケットゲッター」による買い占め防止にも、多少は効果がありそうだ。ファンクラブはそのチームを応援するファンのためのものだが、転売目的のチケットゲッターもファンのフリをして入会する。入会に際し、IDを提示させて本人確認をする球団はないので、偽名を使い、複数名義で入会し、付加価値の高いチケットを優先枠をフル活用して買いあさる。

ユニフォーム付きチケットは、通常のチケットと比べると転売目的のチケットゲッターの標的になる確率が高い。ゲッターを完全排除することは不可能でも、少なくともビジターファン向けのチケットを、ホームのファンの優先枠で買い占められてしまうことは回避できる。

結束の強いパ・リーグ球団に比べ、各球団同士の結束が弱いセ・リーグ球団同士でも、今期ようやく同様の企画が実現した。実施したのはヤクルトスワローズと中日ドラゴンズ。8月11日から13日までのナゴヤドーム開催の中日ーヤクルト3連戦で、燕パワーユニフォーム付きチケットが、そして9月20日神宮球場開催のヤクルト中日戦で、昇竜ユニフォーム付きチケットが発売された。

中日(左)とヤクルトの「ユニフォーム付きチケット」の配布ユニフォーム(撮影:尾形文繁)

どういういきさつでこの組み合わせが実現したのかを聞こうと、ヤクルト球団に取材を申し込んだが、「中日ドラゴンズ営業部と話し合ったが、今回は試験的に実施する部分が多いので」という理由で取材に応じてもらえなかった。

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