「赤信号を平気で渡る老人」への大きな誤解 「老人の困った行動」はボケが原因と限らない
また、同時に多くのことを言わず、短い文で少しずつ確認しながら伝えるのも有効です。「明日は一緒にそばを食べに行くから新宿西口に10時に待ち合わせましょう」だと長すぎるので「新宿だけどいい?」「時間は10時? それとも11時?」など、少しずつ話を詰めればいいのです。
なお、注意したいのは、高齢者は聞こえたふりをすることがあることです。でもこれは、悪意があってではなく、むしろ気遣いによります。
「自分だけが聞こえなかったからといって、会話の流れを止めたくない」と思っているのです。また、何度も聞き返すと相手も「もういいよ!」「そんな大した話じゃないから……」となり、それを恐れています。
耳をよくするには、多くの人が同時に話し出すバラエティ番組などを観る、オメガ3脂肪酸の多い青魚やクルミを食べる、などが有効です。
すごく大事なことは、紙に書いてメモしたり、電話ではFAXも併用するのもいいでしょう。
「おカネがない」と言う割に、なぜそれを買うの?
おカネがないと言う割に無駄遣いが激しいことも、よくある高齢者の困った行動です。
実家に帰ると、巨大なテレビや冷蔵庫を買っていたり、見慣れない高級羽毛布団があったり、もっと深刻になると不必要な家のリフォームの話が決まっていたりなどです。
まず、高い買い物をしてしまうのは、行きつけのお店や、そこにいる店員の言うことを信じ切ってしまうことにあります。今はネットショップをはじめ非常に安い店は多いのですが、長年愛用して信頼しているお店で買ってしまうのです。
また、電化製品をはじめ商品の数は非常に種類が多くなっていますが、選択肢が多くなりすぎると高齢者はむしろ選びにくくなることも、研究でわかっています。そのため、店員に言われたおすすめ商品をホイホイと選んでしまうことが増えます。
お店を限定してしまうのは、年を取ると移動が大変になることも関係しています。限られた時間で、限られた回数で買い物をしないといけないので、多少高くても買ってしまうのです。
住宅のリフォームなどの訪問セールスにひっかかってしまうのは、高齢者のほうが、将来起きる悪いことを考えず物事のいい面を見がちな「ポジティブバイアス」が関係するからだと言われています。
ポジティブバイアスは、残された人生の長さを考えると自然に起きてくる現象です。「あと余命1年」と言われたら、どの商品やサービスを選ぶのかで迷うよりも、さっさと決めて趣味に時間を回すようになるはずです。
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