ADKが世界最大の広告会社と手を切った理由 20年の提携に終止符、ベイン傘下で構造改革

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博報堂DYホールディングスも、戦略事業組織「kyu」(キュー)を軸に、最先端のサービスを提供する企業を対象に出資や買収を仕掛ける。ADKは国内の収益性改善や海外の構造改革を進めてはいるが、他社のような攻めの手を打てていない。

さらに、業界は電通社員の過労自殺を機に働き方改革を強いられている。従業員1人当たりの労働時間を増やさずに事業の効率を高めるには、人件費だけでなくシステム費用など、多額の投資が必要だ。「広告業界はブラック」といったイメージを払拭できなければ、いずれ採用活動にも支障が出てくるだろう。

WPPはどう対抗するのか?

ただし、今回のスキームには懸念要素もある。WPPがADK株を売却しない方針とも伝えられているのだ。買い付け予定数の下限は50.1%としているため、WPPが応じなくてもTOBは成立する。ただ、その場合、ADKとWPPの契約によって、最も遅い場合、ADK株の売却が1年後にずれ込み、改革が遅れる可能性がある。

またADKの株価は10月4日の終値で3800円と、ベインが提示したTOB価格3660円を上回っている。市場はベインによるTOB価格の引き上げやWPPによる対抗措置などさまざまな可能性を期待しているようだ。

世界最大手の下を離れ、ベイン傘下入りを選んだADK。まずはもくろみ通りにTOBを成立させられるのか。

田邉 佳介 東洋経済 記者

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たなべ けいすけ / Keisuke Tanabe

2007年入社。流通業界や株式投資雑誌の編集部、モバイル、ネット、メディア、観光・ホテル、食品担当を経て、現在は物流や音楽業界を取材。

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