鉄道は「EV・自動運転」時代に生き残れるか コスト低下と自由度の高さに地方では大敗?
このとき、必ずしも鉄道によらず、自動運転車の実用化で解決される部分がかなりありそうだ。
たとえば通学バスが自動運転になると、児童・生徒の自宅をきめ細かく回る自動運転バスに運転手は不要となり、学校関係者などの同乗で対応できる。部活動で遅くなる生徒に対して、鉄道だと臨時列車の手配は難しいが、運転手不要の自動運転バスであれば、自由度が高まる。
通院では、無人のタクシーが自宅までやってきて、足腰が弱い高齢者もドア・ツー・ドアで利用できる。最寄り駅まで歩いて行き、不自由な体で跨線橋を渡ってホームにたどり着き、2時間に1本しかない列車に乗るのと比べれば雲泥の差である。自宅から乗車できる自動運転車は、究極のバリアフリーといえよう。
自動運転車が実現すれば、特に地方では鉄道よりも低コストで移動に関するさまざまな課題がカバーされうるのだ。
ビジネスでの移動にも影響が
次にビジネス需要をみてみよう。
自動車所有に対する費用は、車両の購入費に加えて車検代・保険料・重量税が主たるものだが、他にも駐車場代やタイヤ、オイルの交換など、こまごまと経費がかかる。
一方で、必要なときだけ車を使ったり、遠隔地への出張が多かったりという人の場合、レンタカーやカーシェアリングを利用するケースも増えている。特にカーシェアリングの伸びは近年目を見張るほどだが、この分野でも、自動運転EV車が加わると鉄道に脅威となりそうだ。
現状では、拠点間移動では鉄道の優位性が高い。たとえば、カーシェアリング最大手のタイムズカープラスの場合、普通車であれば15分206円で使った時間だけの支払いとなる。6時間パックだと4020円だ。
6時間のあいだに50km先まで往復する場合を考えると、JRの幹線運賃は片道840円、往復で1680円のため、カーシェアリング利用より大幅に安い。さらに、時間に正確であり、移動中に仕事をこなすことができるという利点もある。現状では、拠点間で鉄道を利用して、そこからレンタカーやカーシェアリングを使用するほうがメリットが大きい。
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