「JR北海道問題」に抜け落ちている重要な論点

北海道の将来に対する「国の考え」が見えない

冬の北海道における鉄道走行は過酷だ(写真:Kobayashi / PIXTA)

2016年11月18日に「当社が単独では維持することが困難な線区について」という文書をJR北海道が公表した。その内容は輸送密度200人未満の線区はバス転換、そして200以上2000人未満の線区についてはいわゆる上下分離など地元自治体への支援を求めている。

それから半年が過ぎ、地元ではさまざまな議論がされている。今後、紆余曲折が予想されるが、いくつかの疑問点を明らかにしておきたい。

国民にとって北海道の位置づけは何なのか

まず指摘したいのは、今回このような表明がなされ地元とJR北海道の協議などが議論されているが、ことは北海道内だけの問題ではないということである。鉄道ネットワークは国民全体に影響を及ぼす問題である。国鉄分割民営化から30年を振り返る論調も見られるが、重要なのは、国民にとって北海道という地域をどう位置づけるか、その過程で鉄道をどう維持していくかの視点であると考える。

北海道は言うまでもなく、開発の歴史が200年に満たないわが国のフロンティアであり、狭隘(きょうあい)な本州以南に比べて広大な土地、豊富な資源を有する地域である。戦後、海外領土を失って以来、わが国にとっての重要な食料基地、資源供給地と位置づけられ、北海道開発法などを制定して開発を進めてきた。今日でも食料自給率200%を超える農水産業、あるいは多様な資源の供給地域として国民の生活に貢献している地域である。高質な景観、観光資源にも恵まれ、国内のみならず外国からの旅行者4000万人を掲げる観光立国上も重要な地域でもある。

国土政策的にも長年特別な地域として予算の重点配分がなされてきた事実もある。この位置づけは今後も変わらないとすれば、今回の問題を一鉄道会社と地方自治体や地域住民の協議に任せる事柄ではないと考える。

北海道を今後のわが国を支える地域として維持していくうえで、人口減少社会においてどのような考え方で公共交通としての鉄道を維持していくかが問われている。国鉄分割時に人口密度が全国平均の5分の1にすぎなかった北海道において、鉄道ネットワークの維持、管理は経営的に困難なことは誰もが理解していた。その結果として、いわば国民負担で6822億円という一事業体としては巨額な経営安定基金を付与されている。

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