「JR北海道問題」に抜け落ちている重要な論点

北海道の将来に対する「国の考え」が見えない

1980年の国鉄再建法により輸送密度4000人未満の路線を特定地方交通線として廃止やバス転換が進められた。北海道においても国鉄分割民営化前後に約1500キロメートルの線区が廃止され、その多くがバス転換された。北海道二十一世紀総合研究所が北海道運輸局の委託調査として2009年に「北海道における鉄道廃止代替バス追跡調査」をまとめている。その調査によればバス転換線区の多くが転換後3年で利用客が急減している。

また災害で橋梁や路盤が流された日高線(鵡川―様似間)や根室線(富良野―新得間)もバス転換が提案されている。日高線は北海道南部海岸から襟裳岬を経て北海道東部に抜ける周遊ルートを形成しており、リダンダンシー(代替性)や観光振興上も重要である。根室線(富良野―新得間)も石勝線の代替輸送路としての役割がある。両線とも災害で流され、復旧を担うJR北海道にその資金的余裕がないから復旧せずにそのまま廃線にするというのは、先進国として情けない。

名松線は復旧できた

本州で同様な事情にあった三重県の名松線はバス転換を提示されながらも被災から6年後に復旧している。また2011年の水害で不通になっている福島県の只見線も復旧が決まった。いずれも政府、JRと地元が知恵を出し合った努力の結果である。

鉄道を所管する国土交通省には北海道の国土強靭化を担う北海道開発局がある。国土保全の観点からスーパー護岸(海岸保全、土砂流出による漁業被害防止のための護岸)や防災対応橋梁(道路が流されてもそれを補完する鉄道橋)としてJR北海道と連携して復旧させることも考えられよう。国が先頭に立てば、事態を改善する方法はいくらでも見つかるはずだ。

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