日本人の僕がパレスチナで起業家を募る理由 ガザの若者に未来への展望を持ってほしい
堀:いろんな形で支援を続けてこられたと思うのですが、先日までクラウドファンディングにも挑戦されていましたよね。なぜ今資金集めが必要なのでしょうか?
上川路:そうですね。我々は、春と夏の、だいたい1年に2回イベントをやっています。夏には現地でビジネスコンテストを。「我々がやっている活動を幅広く知ってもらいたい」「自分たちのプロジェクトだという意思でサポートしてくれる人を1人でも増やしたい」という2つの目的を持っています。
また、3月には、世界各地の女性企業家とビジネスコンテストの受賞者を日本に招待して、サポートプログラム・日本ツアーを行っています。ただ、春と夏、いずれも寄付で賄っており、起業支援をしている団体自体が持続可能じゃないという笑えない状態です。持続可能的にやりたいことを続けていく仕組みを、今作っているところです。
堀:集まったおカネは何に使われるのでしょうか?
上川路:今回は150万円を目標にクラウドファンディングを行いました。リターンや手数料の支払いを差し引くと、だいたい110万円ほど残ることになります。現地でのビジネスコンテスト開催費用が40万円ほどかかるほか、優勝チームに賞金として50万円渡すことになっています。残りの20万円が運営で使う費用なのですが、実際には20万円どころではない費用がかかっているのが現状です。
堀:この取り組みによって期待していることは何ですか?
上川路:ガザで今やっているプロジェクトというのは、仕組みとしては非常にシンプルなものです。「ビジネスコンテストをやって、経営支援をして、企業とのマッチングをして、投資家を呼び込んで自立できるようにする」。この仕組み自体は、正直ガザ以外でも出来る取り組みだと思っています。
実際に今年の春のイベントに呼んだインドネシア、タンザニア、ミャンマーの女性起業家からは「うちでもやらないか」という申し出をいただいていて。今年の11月にはミャンマーのヤンゴンでもビジネスコンテストをやってこようかなと思っています。「何かおもしろいことをやりたいと言っている人たちを自分たちがサポートすることでいい未来を開けるんじゃないか」というのを一緒に追求してもらいたい。「国際協力」という言葉は大げさで好きじゃないので、「友達に協力したんだ」という感覚でみんながやれるようになると、おもしろい社会が実現するんじゃないかなと思います。
「次世代を引っ張っていくリーダーを作りたい」
堀:僕もガザに行った時に、現地のパレスチナのアラブ人の方が胸に手を当てながら、「日本は原爆や敗戦から立ち直った経済力をこうした世界の不均衡のために役立てている姿に、大変敬意を持っているんです」と頭を下げてくれたんです。それが本当に嬉しかったのと、それを積み重ねてきた草の根的な平和的活動が本当に大事だなと感じていて。実際にこういうビジネスのマッチングや支援をされていて、先方の皆さんから受けた言葉で印象的なものはありますか?