「上がり過ぎた米国株」の下落が始まる時 「選挙前は上昇」の日本株神話も今回は微妙
こうした見解については、「甘すぎる」との指摘も聞かれる。一方で、代替財源として期待され続けているいわゆるオバマケアの改廃については、その修正案が、9月26日(火)に上院での採決が見送られており、ますます財政赤字が大きく膨らみかねず、懸念されている。
共和党内の一派であるフリーダム・コーカス(自由議員連盟、財政赤字拡大に対して後ろ向き)は、減税案を支持する旨を表明しているが、財政赤字拡大を防ぐため、インフラ投資を含めて歳出面で大幅な縮減を、一段と強硬に要求する可能性が強まっている。このため、予算の策定が紛糾する恐れが高い。加えて、財政赤字問題が焦点を浴びるなか、12月8日(金)に期限が来る債務上限引き上げがスムーズに行なわれるかも、不透明感を増している。
このような今後の懸念要因を踏まえると、現在米国市場に広がっている減税案に対する疑念は、健全なものであり、これからの米株や米ドルの頭を抑える方向で働くと予想される。
そもそも、予想PER(株価収益率)などでみた、米国株価の買われ過ぎ状態は全く解消されていないが、いつ、何がきっかけでその買われ過ぎが解消されるかは見通しにくい。それでも、これから今年末にかけて、そのまま米国株価が上昇していくとは見込みがたい。日本国内にとりわけ悪材料はないが、日本株もそうした米国発の波乱に巻き込まれる、という展開を想定する。
材料は豊富だが、今週は小動きか
そうした全体観の中での今週の国内株式市況だが、欧米での材料は多い。
10月1日(日)には、スペインのカタルーニャ自治州で、独立を問う国民投票が行われている。スペイン政府は投票自体を阻止する構えだった。「それにより騒乱が生じる、あるいは投票が行われて、独立賛成が多数になる」、という事態は、欧州他地域で独立の機運(スペインのバスク地方や英国スコットランドなど)が盛り上がる可能性があり、欧州株価やユーロ相場の波乱要因となりうる。
米国では、10月6日(金)の9月分の米国雇用統計を含め、注目される経済指標の発表が多い。非農業部門雇用者数の前月比は、10万人を下回る増加になると見込む向きが多い。これは米国の景気が悪いわけではなく、雇用市場のひっ迫による採用難が主因だろう。また、ハリケーンの影響が残っているかもしれない。
日本では10月2日(月)発表の日銀短観は、景気の緩やかな持ち直しを背景に、業況感などがじわりと持ち直す形で、特に市場の材料とはなるまい。こうした材料を、国内株式市場はにらみながらも、これまでの上昇の一服、あるいは小幅反落という展開になると見込んでいる。今週の日経平均株価は、1万9900~2万0500円のレンジを予想する。
記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら
印刷ページの表示はログインが必要です。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら
無料会員登録はこちら
ログインはこちら